ビットコイン(BTC)上場投資信託(ETF)の承認による「ニュースで売る」動きが継続し、逆張りのベットが減速の兆しを見せていない。そのため、暗号資産(仮想通貨)の上昇に賭ける先物トレーダーは過去24時間に約2億1700万ドル(約325億円、1ドル=150円換算)の清算に陥った。
暗号資産ファンドのグレイスケール(Grayscale)が、保有するビットコインを売却する懸念があり、グレイスケール・ビットコイン・トラスト(GBTC)の保有者の一部が売却して価格の下落につながったようだ。ブロックチェーン分析企業アーカム・インテリジェンス(Arkham Intelligence)によると、グレイスケールに関連するウォレットは4億ドル(約600億円)以上のビットコインをカストディアンのコインベース・プライム(Coinbase Prime)に移動しており、同ファンドが売却の準備していることを示している。
アナリストは、「売り圧力がありそう」な中、GBTCが1月18日に0.9%のディスカウントに転じたと指摘した。
On the ‘not a good sign’ front, GBTC’s discount has also reversed, the wrong way, back up to 96bps, likely due to selling pressure but who know we’ll see in the flows eventually pic.twitter.com/T7eXrmH6Ju
— Eric Balchunas (@EricBalchunas) January 18, 2024
しかし、例えばブラックロック(BlackRock)のiシェアーズ・ビットコイン・トラスト(IBIT)は17日に運用資産(AUM)が10億ドル(約1500億円)を超えており、他のETFがこうした売りの大半を吸収している可能性が高い。
ビットコインは18日に3.7%下落して4万2000ドルを割り込み、12月の4万9000ドルから15%下落した。これは市場全体の後退につながり、イーサリアム(ETH)は2.5%、ソラナ(SOL)は6.5%、カルダノ(ADA)は5%、それぞれ下落した。
一方でバイナンスコイン(BNB)は市場をアウトパフォームし、0.6%上昇した。これは、このコインに密接に関連する暗号資産取引所バイナンス(Binance)のローンチパッドに後押しされたもので、ユーザーはBNBを購入して預け入れることで、プラットフォームに上場された新しいプロジェクトの割り当てを得ることができる。
価格の下落により、価格上昇に賭けていたレバレッジの高い先物の取引は2億1700万ドルの損失を出し、ビットコインだけで8800万ドル(約132億円)の清算が行われた。
清算とは、トレーダーの初期証拠金の一部または全部の損失により、取引所がトレーダーのレバレッジポジションを強制的にクローズすることを指す。これは、トレーダーがレバレッジをかけたポジションの証拠金要件を満たすことができない(取引を継続するための十分な資金がない)場合に発生する。
一方、あるトレーダーは19日のメモで、暗号資産市場は短期的にはレンジ相場になると予想していると述べた。
「BTCは4万ドルから4万2000ドルのゾーンで推移しており、短期的なサポートとして機能する可能性が高い」とSynFuturesのCEO兼共同創設者のレイチェル・リン(Rachel Lin)氏は述べた。「全体として、この1週間は嵐の後の静けさと言えるだろう。ETFマニアの局面は終わり、市場は次のきっかけを探しながら、横ばいの動きをしている」。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Crypto Bulls Lose $217M as Apparent Grayscale Sales Weighs on Bitcoin