10種類の現物ビットコインETF(上場投資信託)の発売が予想を上回ったコインベースの第4四半期決算に寄与したのは事実だが、JPモルガン(JPMorgan)のアナリストであるケネス・ワーシントン(Kenneth Worthington)氏は、コインベースが期待するほどその恩恵が強いかどうかには懐疑的だ。
ETFへの関与にはマイナス要素も
ワーシントン氏は16日のメモで、「経営陣はアメリカのビットコイン現物ETFへの関与が純粋にプラス要素だと宣伝したが、プラスとマイナスの両方の要素が見られるため、利益に対する真の影響はまだ不透明だ」と述べた。
ワーシントン氏は特に、10種類のビットコインETFのうち8種類にカストディサービスを提供するという同社の事業についての明確性が欠けていることを批判した。
メモでは、「特にコインベースの直接参加と収益化の取り組みの点で、ビットコイン現物ETFに対するメディアの注目と市場の期待を考慮すると、経営陣が発行企業との取り決めの経済性についてより確かな情報を提供してくれることを期待していた」と書かれている。
ワーシントン氏は、「詳細が不足していることを考えると、これらのETFの真の収益化の効果や、現物市場での取引高が減る可能性を上回る能力があるかどうかについては依然として懐疑的だ。(取引高の減少は)依然として起こり得ると考えている」と説明した。
この批判は、コインベースが15日に発表した第4四半期の決算がアナリスト予想を上回り、16日には株価が急騰して多くのアナリストが前向きになったにもかかわらず行われたものだ。ウェドブッシュ(Wedbush)やJMP証券などの一部のアナリストらは目標株価を引き上げており、KBWは格付けを「売り相当のアンダーパフォーム」から「マーケット・パフォーム」に引き上げた。
ETFで取引所離れは起きない
アナリストらはETFの承認前、ETFはブローカーを通じて資金を投入しやすいため、その低い取引手数料によって投資家がコインベースのような取引所から離れ、ETFに流入する可能性があると警告していた。
しかしワーシントン氏は、コインベースはETFによって投資家離れが起きているとは考えていないようだと指摘。「ロビンフッド(Robinhood)の経営陣から聞いたコメントと同様に、コインベースはビットコイン現物ETFによって顧客行動の変化が起きることはなく、すべての取引は既存の現物取引に追加される形で発生しているように見えると主張した」と述べた。
ワーシントン氏は、ETFの材料が期待外れだったことを理由に1月23日にコインベース株に対して弱気の見通しを示したが、デジタル資産価格の上昇を理由に第4四半期決算の直前に見通しを引き上げた。同氏の12カ月間の株価目標は95ドルで、ウォール街のアナリストの中でも最も低い水準にあり、中立の格付けを堅持している。
|翻訳・編集:林理南
|画像:Alpha Photo/Flickr
|原文:JPMorgan Analyst Criticizes Coinbase’s Lack of Insights Into Its ETF Business