財政赤字、インフレ、戦争、銀行破綻、サイバー攻撃、脱ドル化。
これらのリスクは、投資家が株式や債券から得るリターンを脅かし、大きな障害となる。歴史的に米国債は「安全な避難先」であり、危機からある程度の保護を提供してきたが、2021年から2023年にかけて、米国債の3年間のパフォーマンスはマイナス10%となり、少なくとも1980年代以降で最悪となった。同様に、株式60/債券40の分散ポートフォリオも2022年にはマイナス16%と、過去14年間で最悪のパフォーマンスを記録した。
不確実性が増す世界で投資家は何をすべきか?
「反脆弱性」
ナシム・タレブ(Nassim Taleb)氏は著書『反脆弱性──不確実な世界を生き延びる唯一の考え方』の中で、無秩序から利益を得るもののユニークな特徴を検証している。例えば、免疫システムは風邪をひいた後、より効果的になる。法律は訴訟によって明確化される。ソフトウエアは欠陥につけ込むハッカーたちによって「百戦錬磨」なものとなる。
グローバルなストレスから恩恵を受ける可能性のある資産をポートフォリオに追加できるとしたらどうだろう? 不確実性やボラティリティによって改善されるような資産だ。
ビットコインを考えてみよう。ビットコインネットワークはストレスに強いようだ。2021年に中国政府がビットコインマイニングを禁止したとき、ビットコインマイニング能力の約50%が停止または移転を余儀なくされた。
だが7カ月以内にマイニング能力は完全に回復し、現在は中国による禁止前の2倍以上になっている。過去15カ月の間に、世界第2位の暗号資産(仮想通貨)取引所は破産を宣言し、最大の取引所は米司法省から制裁を受けた。それでもビットコイン取引は影響を受けず、取引高は過去最高に近い。
ビットコインは資産として、ますます反脆弱的になっているようだ。2023年3月10日にシリコンバレー銀行が破綻した際、影響の伝播への懸念から翌日の株価は下落したが、ビットコインは20%上昇した。
他の資産クラスを上回るビットコイン
この「安全な避難先」のような値動きは、ビットコインにとって新しい現象であり、持続するかどうかは時間が経てばわかるだろう。
しかし、ビットコインは過去1年、3年、5年、10年と、多くのストレスを含むそれぞれの期間で、他のすべての資産クラスを上回っている。
ギャラクシー(Galaxy)の調査によると、2018年8月~2023年8月の5年間、S&P 500 55%/Bloomberg U.S. Agg 35%/Bloomberg Commodity 10%のポートフォリオにビットコインを1%割り当てた場合、ボラティリティや大きな下落の影響はほぼなく、高いリターンと優れたリスク調整後リターンが得られたという。
フィデリティ(Fidelity)は先日、カナダの分散型ETFポートフォリオにビットコインを追加し、Conservative ETFには1%、Growth ETFには3%を割り当てた。
アメリカでは、手数料の安価なフランクリン・テンプルトンEZBCやiシェアーズIBITなど、複数のビットコインETFが利用可能であり、アメリカの投資家がそうした動きを追随することは簡単だ。
徐々に、あなたのポートフォリオは多くの利益を上げるかもしれない。
|翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸
|画像:Ryo Tanaka/Unsplash
|原文:How Bitcoin Benefits From Global Stresses