- 「ムーンウォーク(Moonwalk)」と呼ばれる新しいアプリでは、ユーザーがダイエット目標を達成するために暗号資産を賭けることができる。
- ユーザーは暗号資産を預け入れてチャレンジに参加し、毎日の歩数目標を達成できなかった場合は、共有の賞金プールに資金を差し出すことになる。
夕食を食べているとき、厄介な事態に気づき、上司にメッセージを送った。 「あと4400歩歩かないと333ドル(約4万9550円、1ドル150円換算)を失うことになる」と。
ムーンウォークと呼ばれる暗号資産ベースのフィットネスゲームを開発するグループに、毎日の歩数を提供するとこのような経済学の教訓を得ることができる。
目標達成をゲームでサポート
このゲームの前提はこうだ。人は責任を持たせてくれる外的な力があれば、ダイエットの目標(例えば毎日の歩数)を達成する可能性が高くなる。それは友人であったり、金銭的な報酬であったりする。ムーンウォークではその両方だ。
ある日、肌寒いユタ州で設立8カ月のスタートアップのスタッフは、私と他の3人のmtnDAO参加者を、歩数を競うゲームで自分自身に賭けるよう説得した。
mtnDAOの参加者は、ソルトレイクシティのコワーキングスペースで、ソラナ(Solana)ブロックチェーン用のアプリを1カ月かけて開発している。
ムーンウォークでは、プレイヤーは自分の資産を預け入れ、1日の歩数目標を達成することにコミットする。我々は、このプラットフォームをテストする初の外部の人間となった。
我々の3日間のチャレンジの賭け金は、ステーブルコインのUSDコイン(USDC)で1000ドル。各自が1日1万歩を歩かなければならない。この目標を達成できない日ごとに、賞金プールに333ドルを渡すことになる。
チャレンジの終わりには、毎日の目標を達成した人たちが賞金プールを分け合う。我々はそれぞれ、最初に差し出した預け入れ金を完全にコントロールできる。1日1万歩をクリアする限り、お金は戻ってくる。
「損しないよう頑張ることで、健康になれる」とmtnDAOでムーンウォークに携わるプロダクトマネージャーのMarbius氏はプレイヤー候補の我々に説明した。
別のプレーヤーのGrove St氏は「私はお金を稼ぐことが好きで、今のところ儲かっている」と語った。
ムーンウォークの一括入金アドレスにUSDコインを送り、iPhoneやアンドロイドから歩数データを取得するヘルスプロフィールとオンチェーンアカウントをリンクさせる。10分ごとに、アプリは歩数データを取得し、ゲームの記録表を更新する。
私は初期段階のテスターとしての生活を味わったが、送金後すぐにリーダーボードには表示されなかった。
Marbius氏は、これは「既知のバグ」で、プレイヤーが送金中にウェブページをリロードしたときに起こると述べた。実際、その後すぐに表示された。
私はすぐに歩き始めなければと感じた。お金がかかっている。冬の空模様の中、私は早足で散歩した。あと数時間で暗くなる。急いで歩数を稼がないと。
「ポジティブな行動の変革を促す」
ムーンウォークの野望は歩数カウントにとどまらず、ダイエット/フィットネスのさまざまな分野に広がっていると創業者のKW氏は語った。彼は「ポジティブな行動の変革を促すゲームをもっと作る」つもりだと述べる。
とはいえ、現状は歩数に限られている。私と他の6人のプレイヤーは、3日間にわたって、ステーブルコインを失わないように急いで何万歩も歩いた。
失敗したのは1人だけだった。彼は2度、1万歩の目標を達成できず、666ドルを失い、残りのプレイヤーで山分けした。
私にとってはちょうどよかった。すべてが終わったとき、私は賞金111ドル(約1万7000円弱)を手にした。
「ムーンウォークは、単純なことをより楽しく、魅力的にしてくれると思う。競争が激しくなると、より楽しくなる」とMrgn Researchのインターン、アンダース(Anders)氏は語った。彼は1週間余りで800ドルほどを獲得したらしい。
「間違いなく、しばらくの間ゲームを続けるつもりだ」とアンダース氏。
一方の私は、今日はまだ歩数が足りていない。
|翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸
|画像:Danny Nelson/CoinDesk
|原文:How to Make (or Lose) Hundreds of Dollars Betting Crypto on Your Fitness Goals