Blastエコシステム上でラグプル──130万ドル分のイーサリアムが被害に
  • Blastエコシステム上で、ギャンブルと取引のプラットフォームであるRiskOnBlastがトレーダーから420ETH以上を調達したまま消滅するという最初のラグプルが発生した。
  • 匿名のRiskOnBlastチームは、投資家から100万ドル以上を調達した後、約50万ドルをChangeNowに、36万ドルをMEXCに、そして18万7000ドルをバイビット(Bybit)に送付した。

資金が潤沢にあり、大々的に宣伝されているBlastエコシステムはこの週末に、現在130万ドル(約1億9500万円、1ドル=150円換算)相当の420イーサリアム(ETH)を一般投資家から調達したプロジェクトが消息不明になるという、初のラグプルを経験した

ラグプルとは出口詐欺の一種で、開発チームがトークンを販売することによって投資家から資金を調達し、その後すぐにプロジェクトを閉鎖するものだ。Blastはイーサリアムのレイヤー2プロジェクトで、本稼働を前に過去数カ月で10億ドル(約1500億円)以上の資金を集めた。

RiskOnBlastはBlastのビッグバン・コンペティションの参加プロジェクトの1つで、ギャンブルと取引のプラットフォームと称され、先週のシードラウンドで投資家から100万ドル(約1億5000万円)以上を調達していた。

しかし、チームのソーシャルメディアのアカウントは2月22日にすべて削除された。チームは匿名だった。オンチェーンのリサーチャーであるsomaxbt氏によると、明らかに盗まれた資金は750以上のウォレットから送られていたという。その後、約50万ドル(約7500万円)相当がスワップサービスChangeNowに、36万ドル(約5400万円)相当が暗号資産(仮想通貨)取引所MEXCに、18万7000ドル(約2800万円)相当がバイビット(Bybit)に送られた。

Blastは以前、公式Xアカウントでこのプロジェクトについて投稿し、そのポテンシャルを「否定できない」と述べていた。Blastはそのブロックチェーン上のプロジェクトが行うことには直接関与していないが、ソーシャル上での言及は投資家に正当性の証だと受け取られる可能性がある。

ある投資家は1万2500ドル(約190万円)以上を失ったと主張し、一方で市場オブザーバーはデューデリジェンスの欠如と、一夜にして立ち上げられたように見えるプロジェクトに対する無責任な投資を批判した。一部の投資家にとっては、この高揚感は強気市場の兆候であった。強気市場ではバリュエーションの判断がしばしば狂い、資金が飛び交うことが起こる。

一方、Blastは24日のXへの投稿で、3000の応募の中から47のプロジェクトを開発者コンペの勝者に選んだと発表した。これらのチームには今後数カ月のうちに、新しいブロックチェーン上にエコシステムを構築するために必要な資金が提供される。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Blast Ecosystem Sees First Apparent Scam as ‘RiskOnBlast’ Rug Pulls $1.3M Ether