トークン化された米財務省短期証券ファンドへのアクセスを提供──FinoaがCentrifugeと提携
  • ドイツ連邦金融監督庁のライセンスを持つ暗号資産カストディアンであるFinoaは、Centrifugeのトークン化された米財務省短期証券ファンドをウォレットシステムに統合した。
  • Anemoyは英領バージン諸島で設立され、規制されており、大規模なDeFi投資家、DAO活動資金、ステーブルコイン・プロトコルに焦点を当てている。
  • Finoaの300を超える機関投資家は、利子を得ることができるステーブルコインの遊休資産を常に抱えている。

規制されたドイツの暗号資産(仮想通貨)カストディアンであるFinoaは、非暗号資産をブロックチェーンに持ち込んだ最初のプラットフォームの1つであるCentrifugeを通じて、トークン化された現実世界資産(RWA)へのアクセスを顧客に提供する予定だ。

最初のRWAトークンは、CentrifugeのAnemoyファンドの1つから派生したもので、英領バージン諸島で設立・規制されている米国短期証券のアクティブ運用、オンチェーンプールだ。ベルリンに本社を置くFinoaの300以上の機関投資家が、FinoaConnectウォレットシステムを通じて、このトークンを利用できるようになると両社は2月28日に発表した。

金融資産をトークン化し、ブロックチェーン上で合理化したものを提供しようとする動きが、特に銀行や機関投資家といった伝統的な金融(TradFi)の世界で活発化している。暗号資産管理会社の21.coは10月に発表したレポートの中で、この市場は10年後までに10兆ドル(約1500兆円、1ドル=150円換算)規模に成長する可能性があると述べている。

Centrifugeの共同設立者であるマーチン・ケンゼル(Martin Quensel)氏によると、Anemoyファンドのトークンは、大規模な分散型金融(DeFi)投資家、分散型自律組織(DAO)の活動資金、ステーブルコイン・プロトコルなどを対象としており、TradFiのトークン化の取り組みの多くとは一線を画しているという。

「数兆ドルがトークン化されるというTradFiの未来へのメッセージは、RWAでイノベーションを起こす企業とは完全に切り離されている」とケンゼル氏は述べている。「TradFiがトークンをデータベースの記録として理解していることは、DeFiにとっては意味がない。トークンはデータベースの記録ではなく、それ自体で実行可能なコードであり、譲渡可能で、独自のロジック、権利、可能性を持っている」。

ドイツ連邦金融監督庁(BaFin)の認可を受けたFinoaの共同設立者であるヘンリク・ゲビング(Henrik Gebbing)氏は、機関投資家の顧客は、利回りを得ることができる資産であるにもかかわらず、大量の法定通貨やステーブルコインを放置していると指摘した。

「我々は暗号資産財団や大規模な暗号資産投資家と連携しており、その多くは利息が支払われないまま、遊休状態のステーブルコインを保有している」とゲビング氏はインタビューで語った。「AnemoyとFinoaConnectの統合は、これらの顧客がトークン化された米国短期証券ファンドにステーブルコインを投入するためのシームレスなユーザーエクスペリエンスを提供するものだ」。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:1969年の米国短期証券(Shutterstock)
|原文:Crypto Custodian Finoa Offers Centrifuge’s Tokenized T-Bill Fund