暗号会社Zamaが「完全準同型暗号化」アプリ開発に7300万ドルを調達

オープンソースの暗号会社Zamaは、完全準同型暗号化(FHE)によるアプリケーションの開発に向けて、シリーズAで7300万ドル(約109億5000万円、1ドル=150円換算)の資金を調達した。FHEはデータを復号化せずに処理できる技術で、ブロックチェーンやAIにおけるプライバシー保護に役立つ可能性がある。

この資金調達ラウンドはマルチコインキャピタル(Multicoin Capital)とProtocol Labsが主導したと、Zamaは3月7日に電子メールで発表した。プレスリリースによると、参加した投資家にはソラナ(Solana)の共同創業者アナトリー・ヤコヴェンコ(Anatoly Yakovenko)氏、ファイルコイン(Filecoin)の創業者ホアン・ベネット(Juan Benet)氏、イーサリアム(Ethereum)とポルカドット(Polkadot)の共同創業者ギャビン・ウッド(Gavin Wood)氏が含まれている。

2020年に設立されたZama社は、FHEを暗号技術の「聖杯」と表現し、企業がユーザーのデータを見たり、より大きなリスクにさらしたりすることなく、ユーザーにサービスを提供することを可能にするものだとしている。Zama社の最新の製品であるfhEVMは、イーサリアム互換ブロックチェーン用の機密スマートコントラクト・プロトコルで、処理中にオンチェーンデータをエンド・ツー・エンドで暗号化したままにすることができる。

マルチコインのマネージング・パートナーであるカイル・サマニ(Kyle Samani)氏は、プレスリリースの中で、FHEは「次の10年のコンピューティングにとって最も重要な基礎となる暗号プリミティブ」だと述べている。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Zamaのランド・ヒンディCEO(Zama)
|原文:Cryptography Firm Zama Raises $73M for ‘Fully Homomorphic Encryption’ Apps