今年これまでのところ、新たに発売されたビットコイン(BTC)現物ETF(上場投資信託)による圧倒的な需要があるおかげで、ビットコイン強気派は経済や米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策などに注意を払う必要から一時的に逃れられている。しかし少なくとも現時点では、状況は変わりつつあるようだ。
インフレ堅調で米10年債利回りが上昇
14日朝に発表された2月の生産者物価指数(PPI)では、最近発表されたほかの指標と同様に、活発なインフレが大方の予想よりもはるかに堅調であることが示された。政府の報告によると、2月のPPIは0.6%上昇したが、これは1月の2倍であり、エコノミスト予想からも2倍となった。2月の食品とエネルギーを除いたコアPPIは0.3%上昇で、1月の0.5%から鈍化したが、予想の0.2%は上回った。
今週これより前に発表されていた消費者物価指数(CPI)も予想より高く、前年同月比3.2%まで上昇し、コア指数は3.8%まで上昇した。
今月これ以前には4%を割り込みそうな推移をしていた米10年債利回りは再度4.30%まで上昇した。これに伴って米ドルは2月中旬に始まった下落トレンドを脱し、14日には0.5%上昇、過去1週間では約1%上昇した。ほかの条件が同じであれば、金利の上昇とドルの上昇はビットコインのようなリスク資産にとってマイナスの影響をもたらす傾向がある。
利下げ期待が後退
2024年に金融政策が大幅に緩和されるとの期待は引き続き後退している。市場は年明けの時点では、FRBが2024年に150ベーシスポイントの利下げを行い、最初の利下げは来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)になると予想していた。現時点ではもはや誰もそれを期待しておらず、5月会合での利下げも予想されていない。6月については、CME FedWatchツールで予想されている利下げの確率が約50%まで低下した。
2024年に約70%上昇して7万4000ドル(約1110万円、1ドル150円換算)目前の史上最高値を記録した後のビットコインは間違いなく調整を受けやすくなっており、インフレ、金利、ドルに関するニュースがトレーダーに利益確定を行う理由を与えたのかもしれない。14日朝に7万3800ドルに達したビットコインは、経済指標発表を受けて7万650ドルまで下落した。本記事執筆時点では、過去24時間で3%以上下落した水準となる7万900ドルで推移している。ソラナ(SOL)とドージコイン(DOGE)の上昇が助けになり、取引高上位の暗号資産のパフォーマンスを示すCoinDesk 20(CD20)は1.7%下落でもちこたえた。
|翻訳・編集:林理南
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|原文:Bitcoin Sells Off 3%; Is Macro Risk Returning to Market?