会計的に「仮想通貨は無形資産」? ― 国際機関が見解示す

仮想通貨保有は現金でも金融資産でもないが、少なくとも影響力のある国際会計基準機関によると、無形資産の定義を満たしている。

韓国会計基準院(KAI)によると、国際財務報告基準解釈指針委員会 (IFRIC)は、6月にロンドンで開催された会議後にそのような決定を下した、と2019年9月23日にコリアタイムス (The Korea Times) が報じた

実際、ロンドンに拠点を置き、国際財務報告基準(IFRS)を設定する機関であるIFRICは、6月21日(現地時間)付のほとんど知られていない文書の中で、仮想通貨の保有につき、無形資産の定義に合致すると結論付けている。その根拠は、仮想通貨が「(1) 所有者の元を離れ、個別に販売又は譲渡することができる、そして、 (2) 所有者が、決まった(もしくは確定することが可能な)量の通貨を受け取る権利を与えられない」ことである。

無形資産は、実体のない非貨幣資産として同委員会により定義されている。また、仮想通貨はエクイティではなく、所有者に契約上の交換の権利を与えるものではないと結論付けている。重要なのは、仮想通貨は実際には交換媒体ではないため、現金ではないということだ。

同委員会は、もし企業が「仮想通貨を通常の業務の一環として販売するために保有する」場合、仮想通貨は棚卸資産として計上される可能性があると付け加えた。

ポイントとしては、同委員会の基準設定に関する議題に、仮想通貨の扱いは入っていなかった。つまり、今回の発表は、同機関の見解を反映しているだけであり、実際の規則となっているわけではない。

しかし、同委員会が一度、基準を定めると、それが準拠される傾向にある。米国ではこれまでGAAP(一般に公正妥当と認められた会計原則)の枠組みしか使用していないものの、例えばIFRSは約144か国で使用されており、シンガポールや韓国、そしてヨーロッパのほぼ全域で公開会社に対して適用が要求されている。

仮想通貨の会計処理については、2016年頃から議論が行われており、数多くの議論が行われ、論文が提出されている。IFRICは最近、香港公認会計士協会(HKICPA)、インドネシア財務会計基準審議会、韓国会計基準委員会(KASB)、日本の企業会計基準委員会(ASBJ)を含む幅広い関係者からこの問題に関して23通の意見書を受け取った。

翻訳:新井朝子
編集:T.Minamoto
写真:Accounting image via Shutterstock
原文:Crypto is an Intangible Asset, Global Accounting Standards Body Argues