コインベース、Baseのトラフィック急増で送金詰まりを警告

暗号資産(仮想通貨)取引所コインベース(Coinbase)が提供するレイヤー2ブロックチェーン「Base」では、安価な手数料でイーサリアム上のトランザクションが実行できる。この度イーサリアムが発表した警告によると、同チェーンは新たなトランザクションの波に追いつくのに苦労しているようだ。

コインベースの公式ステータスページには、「Baseメインネットはトラフィック負荷が増大し、手数料が上昇している」という警告に加え、「一部のユーザーは設定した手数料が低すぎるためにトランザクションが止まっており、コインベースウォレットのような一部のウォレットでは現在トランザクションをキャンセルできない」と記されている。

ディファイラマ(DefiLlama)によると、Baseの預かり資産(TVL)はレイヤー2ネットワークの中で3番目に多く、現在7億ドル(約1050億円、1ドル=150円換算)以上の資産が管理されている。暗号資産市場がミームコイン(インターネット上で話題を生み出し、流行り好きの暗号資産愛好家にアピールするために作られたトークン)をめぐる熱狂に席巻され、Baseの預かり資産は今週急増していた。

ナンセン(Nansen)のデータによると、トランザクション件数は2月下旬までは通常1日20万件以下であったが、3月18日には60万件を超えた。

コインベースの担当者は「過去24時間にBaseネットワークのトラフィックが増加し、取引手数料が上昇した。手数料が低く設定されていたトランザクションの一部は、『保留中』の状態で止まっている可能性がある」とCoinDeskにメールでの声明で伝えた。

「可能であれば、保留中のトランザクションがあるユーザーは、一度キャンセルし、最新の推定ガス料金で再送してほしい。キャンセルできない場合は、トラフィックが落ち着いてからトランザクションが実行される」

「安心してほしい、資金は安全だ」と声明は結ばれている。

トラフィックの増加は、一部の暗号資産インフルエンサーがX上で「Baseの時代」到来を予言するなか発生した。18日以来、複数のポストで、著名投資家がBaseトークン(主にミームコイン)をフォロワーに宣伝している。

デックスツールズ(DEXTools)のデータによると、ノーミー(NORMIE)、ブライウン・アームストロング(BRIUN)、ブレット(BRETT)などのトークンは過去1週間で500%も上昇している。ミームコインの急騰と時を同じくして、SNSではネットワーク手数料が最高5ドル(約750円)に達していることへの不満が聞こえた。通常、Baseの手数料は1ドル以下で推移している。

レイヤー2の「ロールアップ」であるBaseは、ユーザーからのトランザクションを束ね、イーサリアム上で決済することにより、トランザクションの速度向上と手数料低減を実現してきた。

SNSユーザーの一部は、レイヤー1ブロックチェーンであるソラナ(Solana)をBaseの比較に挙げた。安価な手数料が魅力の一つであるソラナもミームトークンの台頭で盛り上がり、取引量の増加に追いつくのに苦労してきた。

コインベースでプロトコルチームを率い、Baseの考案者とされるジェシー・ポラック(Jesse Pollak)氏は、今回の逆風を受けて「Baseの勢いが増すほど、多くの挑戦と批判が生まれる」とXのポストで述べた。

|翻訳・編集:行武 温
|画像:Jesse Pollak, head of protocols at Coinbase (CoinDesk TV)
|原文:Coinbase’s Base Chain Warns of ‘Stuck’ Transactions Amid Traffic Surge