エルサルバドル、ビットコインにさらに注力【Future of Bitcoin】

暗号資産(仮想通貨)へのコミットメントを強調する戦略的な動きの中で、エルサルバドルは暗号資産市場、特にビットコイン(BTC)との関わりを深めている。ナジブ・ブケレ(Nayib Bukele)大統領は以前、1日1ビットコインを購入する計画を発表し、法定通貨では手が届かなくなるまでこの取り組みを続けるとした。その結果、同国のビットコイン保有高は5690BTCに達し、約4億ドル(600億円、1ドル150円換算)相当となった。

暗号資産への取り組みとともに、エルサルバドルはグローバルな投資シーンに向けて、国際的な投資と送金に対する所得税を撤廃するという大胆な声明を発表した。30%の所得税の撤廃は、海外投資家を惹きつけ、経済成長を後押しすることが目的だ。

エルサルバドルのビットコインへのコミットメントは最近、5000BTC以上をコールドウォレットに移したことで大きな注目を集めた。ブケレ大統領は、4億ドル相当にのぼるビットコインが、同国内の物理的な金庫に保管されているコールドウォレットに移されたことを明らかにした。この動きは、エルサルバドルの金融戦略における重要な一歩であり、より高いレベルのセキュリティを提供し、暗号資産の将来に対する強い信頼を示している。

コールドウォレットへの移行が伝えられる直前には、エルサルバドルのビットコイン保有高が予想以上に多く、以前から知られていた保有量のほぼ2倍であることが明らかになった。エルサルバドルは、日常的な買い物、パスポート発行、企業向けの両替、マイニング、行政サービスなど、さまざまな手段でビットコインを取得していた。こうした取り組みで、エルサルバドルのビットコイン保有高は劇的に増加した。

エルサルバドルのビットコインに対する先駆的な姿勢は、ビットコインを法定通貨として採用した最初の国となった2021年9月に始まった。それ以来、ビットコインの価値は大きく変動し、最近は史上最高値7万3800ドルを記録した。1日1ビットコインを購入し、火山の地熱エネルギーを利用した非課税の「クリプト・ヘイブン」を設けているエルサルバドルは、経済発展のために暗号資産を活用するというイノベーティブなアプローチを象徴するものだ。

ブケレ大統領は、単にビットコインを買い集めるだけにとどまらず、暗号資産に関連する戦略的投資や取り組みを通じて、エルサルバドルを裕福な国家に変えることを描いている。国際通貨基金(IMF)のような国際機関からの批判や警告にもかかわらず、エルサルバドルのビットコイン戦略へのコミットメントは揺るぎなく、ビットコインから離脱するサインは見えない。

エルサルバドルがビットコインに果敢に進出し、暗号資産投資のための環境を整えようとしていることは、国家が暗号通貨を捉え、関わっていく方法が大きな変化していることを反映している。エルサルバドルがビットコイン購入を継続し、暗号資産インフラを強化することは、他国が追随すべき先例となり、その過程で世界の金融情勢を再構築する可能性がある。

|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部
|画像:ナジブ・ブケレ大統領(modified by CoinDesk)
|原文:El Salvador Doubles Down on Bitcoin