- ブラックロックは先週、パブリック・ブロックチェーン上で初のトークン化ファンドを発表した。
- 同社はTradFiと暗号資産、両セクターの主要な機関と提携している。
- オンチェーン・ファンドは、資産運用会社にとって新たな成長領域になる可能性があるとバーンスタインは述べた。
ブラックロック(BlackRock)がパブリック・ブロックチェーン上でローンチした初のトークン化ファンドは、TradFi(伝統的金融)の世界と暗号資産(仮想通貨)の両セクターから主要なパートナーを招き入れたという点で重要である、と投資会社バーンスタイン(Bernstein)は3月26日に発表した調査レポートで述べた。
投資信託や証券をブロックチェーン上でデジタル化する動きが高まる中、ブラックロックは先週、イーサリアム上で初のトークン化ファンドを公式に発表した。
バーンスタインは、マネー・マーケット・ファンドのトークン化自体は新しいものではないが、「ブラックロック米ドル機関投資家向けデジタル流動性ファンド(BlackRock USD Institutional Digital Liquidity Fund、BUIDL)」は、ブラックロックが「伝統的金融と暗号資産の両セクターから主要なパートナーを取り込んだ」点で重要だと指摘する。
バーンスタインのアナリストのガウタム・チュガニ(Gautam Chhugani)氏とマヒカ・サプラ(Mahika Sapra)氏は、「これにより相互運用性が促進され、より多くの伝統的金融の顧客がそれほどハードルを感じずに、安心してオンチェーンファンドに投資できるようになるだろう」と書いている。
同ファンドにはBUIDLというトークンが用いられ、現金、米国債、レポ取引に完全に裏付けされているとブラックロックは述べる。
ブラックロックによれば、RWAトークン化大手のセキュリタイズ(Securitize)がトランスファーエージェント(名義書換代理人)とトークン化プラットフォームの役割を担い、伝統的金融機関であるBNYメロン(BNY Mellon)がカストディアンを務める。さらにアンカレッジ・デジタル(Anchorage Digital Bank NA)、ビットゴー(BitGo)、コインベース(Coinbase)、ファイヤーブロックス(Fireblocks)が同ファンドのエコシステムに参加する。
BUIDLの登場によって、機関投資家は24時間365日即時決済や高い透明性と資本効率、低コストといったブロックチェーンのメリットを初めて本格的に体験できるようになるとレポートには書かれている。
プライベート・ブロックチェーンではなく、パブリックなイーサリアムを使用することで、「相互運用性とプログラム可能性(プログラマビリティ)の観点から、高い自由度が確保できる」とバーンスタインは述べ、トークン化ファンドの償還は、ステーブルコインの統合によりオンチェーンで行われる可能性があると付け加えた。
オンチェーン・ファンドは、資産運用会社にとって新たな成長領域に発展する可能性があり、「暗号資産運用は、上場投資信託(ETF)を通じた単純な蓄積から、独自の流通とユニットエコノミクスを備えたオンチェーン・マルチアセット商品の構築へと進化する可能性がある」とレポートで述べられている。
|翻訳・編集:行武 温
|画像:BlackRock headquarters (Shutterstock)
|原文:BlackRock’s New Tokenized Fund Brings TradFi, Crypto Closer: Bernstein