損失補填容疑の仮想通貨取引所ビットフィネックス、ニューヨーク州での係争で明るい兆し

仮想通貨取引所ビットフィネックスは、ニューヨーク州司法長官に対して書類を提出し続ける必要がなくなった。少なくとも今のところはだが。

9月24日(現地時間)の裁判所命令によると、州最高裁判所(控訴部)は、ニューヨーク州最高裁判所のジョエル・コーエン(Joel Cohen)判事の判決を差し止めた。コーエン判事は2019年8月に、テザー(Tether)とその関連事業体に対し、ビットフィネックスへの9憶ドル(約965憶4300万円)にのぼる融資に関する書類の提示を求めていた。取引所を営むビットフィネックスは、テザーと、経営陣と株主が同じである。

控訴部の判事たちは以下のように記している:

「2020年1月期について、上訴は、2019年11月4日もしくはそれ以前に不服申立が完了するという条件に基づいて許可される」

上訴については、12月中には詳細が明らかになると見られているが、来年まで行われないという議論もなされている。

ビットフィネックス、その親会社アイフィネックス(iFinex)、そして姉妹会社のテザーとその他関連事業体は、ニューヨーク州司法当局と係争を続けており、2019年4月に同取引所がテザーのステーブルコインの準備金を流用し、決済企業が出した8億5000万円(約912億500万円)の損失の穴埋めをした疑いが掛けられている。

ニューヨークの規制当局は、ビットフィネックスが顧客からの払い戻しや、他の取引を遂行する上で、テザーから複数の融資が行われていた件を含む、今回の損失補填容疑について、ビットフィネックスに複数の書類の提出を求めていた。

コーエン判事は、ニューヨーク州司法長官事務所は同取引所に対して管轄内で司法権がおよぶとし、書類提出が行われるべきであると述べ、ビットフィネックスに書類の提出を命じる判決を2019年8月に下し、ビットフィネックス側の弁護士は、これに対し即座に上訴した。

ビットフィネックスとテザーの法律顧問、スチュアート・ホーグナー(Stuart Hoegner)氏は、9月24日(現地時間)の声明の中で、「我々は今回の決定に満足しており、上級審に進む前に重要な問題に対処できることを楽しみにしている」と述べた。

ニューヨーク州司法長官事務所の広報担当はCoinDeskに対し「テザーとビットフィネックス間の資金の移動を禁じる禁止命令は未だ継続中で、何も変わっていません。コーエン判事の決定を支持し、捜査を続け、裁判で争う姿勢です」と語った。

翻訳:石田麻衣子
編集:T.Minamoto
写真:Bitfinex image via Shutterstock
原文:Bitfinex Can Stop Turning Over Documents to NYAG, Court Rules