DAOの資金調達が可能に──府令改正に合わせて「日本DAO協会」が設立発表会開催

日本DAO協会は4月1日、東京・恵比寿にあるCrypto Cafe & Barで設立発表会を開催。昨年末に開催されたweb3プロジェクトチーム(web3PT)による「DAOルールメイクハッカソン」を受けて、急ピッチで進んだ協会設立に携わったメンバーなどがオンラインも含めて参加した。

発表会ではまず、web3PT事務局長の川崎ひでと議員が挨拶。

web3PT事務局長の川崎ひでと議員(中央)、アーティストの草野絵美氏、日本DAO協会の本嶋孔太郎氏。

「協会がどんどん役所と話し合いを進め、誰かが困ったときには協会に相談し、新しい情報は皆でシェアして、DAOがどんどん発展していく。これは我々が描いた夢です。今日、ようやく夢が実現します」と述べた。

昨年末のDAOルールメイクハッカソンには、日本各地でDAOの考え方や仕組みを活かした取り組みを進める事業者が参加。主にDAOの法人格やメンバーの匿名性・有限責任性、トークン発行の問題点などが指摘された。そうした議論を踏まえたうえで、時間をかけて新たにDAOを包括的にカバーする法を検討するのではなく、現状すでにある合同会社(LLC)をベースに、金融商品取引法(金商法)や会社法など関連する規則を改正する方向となった。

1日、金商法の府令改正が公布され、合同会社型DAOの社員に対するトークン発行のハードルが大幅に緩和された。すなわち、一定の条件が課されるものの、DAOとしての資金調達が可能になった。このいわゆる「DAO法」は4月22日に施行される。

府令改正から約3週間でDAO設立に向けたガイドラインなどを関係官庁と協議しながら整備していくことが協会の当面の大きなミッションとなる。

続いて、 デジタルガレージ共同創業者取締役で千葉工業大学学長の伊藤穰一氏がオンラインで挨拶。

「今回、皆で素晴らしいプロセスを経て、インクルーシブに進めたところがすごい」「Web2では日本は遅れたところもあるが、協会設立をきっかけに世界的な取り組みが日本発でできていくとうれしい」と述べた。

さらに日本ブロックチェーン協会(JBA)代表理事の加納裕三氏、アーティストの草野絵美氏が祝辞を述べた。

DAOのモデルケースとしての協会

その後、協会発起人の一人である本嶋孔太郎氏が「日本においてDAOというものを体現し、実行していくという思いのもと、自律分散型の組織で設立準備を行ってきた」と述べつつ、協会の活動内容を説明。具体的には、「DAOの健全な推進」「DAOについての健全なエコシステム作り」「DAOに関する研究・政策提言」の3つをあげた。

協会は、1日時点ではまだDAO法が施行されていないため、一般社団法人として設立されたが、運営においては「可能な限り評議会に権限を委任し、DAO的に運営していく」と述べた。1年間は実証実験と位置づけているが、4月下旬からはDAO認証サービスをスタートさせる。

今後、実際にどのようなDAOが登場するのかについては、「DAOルールメイクハッカソンでも取り上げられた古民家や陸上養殖施設といった具体的な施設をDAOで保有する、あるいは施設を取得するための金銭を22日から解禁される資金調達手法によって集めるといった事例が想定されている」と説明した。

さらに、トークンを活用して「メンバーの中に共創を起こしていくため」に合同会社型DAOを検討する事例が生まれていると続けた。「すでに10を超える相談が寄せられている」と本嶋氏は述べた。

|文・写真:増田隆幸