ビットコイン、約5%下落——好調な米製造業統計がドル指数を5カ月ぶりの高水準に押し上げ
  • ドル指数が11月中旬以来初めて105.00を上回り、ビットコインはアジア取引時間中に6万6500ドルを割り込んだ。
  • 4月1日に発表された統計データによると、3月の米製造業活動は予想を上回る回復を見せた。
  • 製造業統計を受けて、6月のFRBの利下げ確率は50%を下回った。

4月2日のアジア取引時間中、好調な米製造業統計がドル指数(DXY)を11月中旬以来の高値に押し上げ、ビットコイン(BTC)に売り圧力がかかった。

CoinDeskのデータによると、ビットコインは6万8000ドル(約1020万円、1ドル150円換算)と7万2000ドル(約1080万円)の間での1週間に及ぶ保ち合いを抜け、4%下落して6万6342ドル(約995万円)となった。暗号資産(仮想通貨)市場全体としても下落傾向で、特にイーサリアム(ETH)、ソラナ(SOL)、ドージコイン(DOGE)が大きく下落した。広範な市場を追うCoinDesk 20(CD20)は8%近く下落した。

主要法定通貨に対する米ドルの為替レートを指数化したドル指数は、4カ月半ぶりに105の大台を突破し、4週間の上昇率は2.58%に達した。ドル高により、ビットコインや金のようなドル建て資産は割高になるため、潜在的な需要が減少する。また、ドル高が続くと世界的に金融引き締めが起こり、投資家のリスクテイク意欲が減退することが知られている。

1日に発表された全米供給管理協会(ISM)の購買担当者景気指数(PMI)によると、3月の製造活動は予想外に拡大し、2022年9月以来の伸びとなった。

PMIは2月の47.8から2.5ポイント上昇し50.3を記録。50以上の拡大領域に入り、16カ月連続の縮小に歯止めをかけ、連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測が弱まった。製造業新規受注指数も再び拡大圏に入り、消費者物価指数は55.8%と2月の52.5%から3.3ポイント上昇した。

ブルームバーグ(Bloomberg)によると、スワップ市場では年内の利下げ幅の織り込みが、1日のレポートを受けて65ベーシスポイント(bp)を割り込んだ。つまり市場は、FRBは2024年に25bpの利下げを3回実施するという予想を撤回すると考えている。FRBが6月に最初の利下げを実施する確率は50%を下回った。

「一方で市場はISMレポートに注目しており、10年物国債利回りは製造業の成長率の回復とインフレ率の上昇を背景に10bp上昇した。今週はFRBの個別会合が20回ほど予定されており、市場は本日の結果を受けて、FRB幹部が大幅な政策緩和に踏み切ることに慎重になっていると考えているようだ」と、INGのアナリストは1日の顧客向け短信で述べた。

しかし一部のアナリストは、膨れ上がる政府債務によって、FRBは最終的に急激な利下げを迫られ、暗号資産に大きな追い風が吹くと予想している。FRBはインフレ抑制のため、2023年7月までの16カ月間でゼロ金利から5.5%まで利上げを行った。この引き締めは、2022年のビットコイン価格の80%もの暴落の一因となった。

今週は、5日の非農業部門雇用者数や失業率など、複数の雇用統計の発表が控えているため、ビットコインはしばらく不安定な状態が続く可能性がある。また、4年に1度のマイニング報酬半減も今月に予定されている。

|翻訳・編集:行武 温
|画像:BTC’s price chart
|原文:Bitcoin Drops Over 5% as Upbeat U.S. Factory Data Powers Dollar Index to Nearly 5-Month High