- 上位3つのステーブルコイン(USDT、USDC、DAI)の累積供給量は1414億2000万ドルに増加し、2022年5月以来の高水準となった。
- このデータは、暗号資産市場に資本が流入し続けていることを示している。
- ビットコインのMVRV Zスコアのような他の指標は、時価総額上位の暗号資産には上昇余地が十分に残されていることを示唆している。
ビットコイン(BTC)は最近勢いを失っている。それでも、トークン購入の資金調達に利用できるために燃料と見なされることの多いステーブルコイン、つまりドルペッグの暗号資産(仮想通貨)の供給量は上昇を続けており、ビットコインの強気派に安定感を与えている。
ビットコインは3月14日に7万3500ドルを超えて史上最高値を記録したが、その後は主に6月にFRBが利下げを実施する可能性が低下したため、7万ドル以上を維持するのに苦労している。記事執筆時点では、時価総額トップの暗号資産は史上最高値から約10%下落し、6万6000ドル付近で取引されていた。
しかし、チャートプラットフォームのTradingViewのデータによると、同時期に90%以上のシェアでステーブルコイン市場を支配している上位3つのステーブルコイン、テザー(USDT)、USDコイン(USDC)、ダイ(DAI)の累積供給量は2.1%増の1414億2000万ドル(約21兆2000億円、1ドル=150円換算)となり、2022年5月以来の高水準に達した。今年、累積供給量は200億ドル(約3兆円)以上増加している。
Reflexivity Researchによると、流動性の代用品であるステーブルコインの供給が拡大し続けていることは、暗号資産市場にとってポジティブな兆候であるという。Reflexivity Researchは、4月2日付のニュースレターで、「この(ステーブルコインの)供給が増加傾向にあることは、資本が暗号資産市場に流入し続けていることを示している」と述べている。
言い換えれば、ビットコインに対するディップ需要は強い可能性があり、幅広い上昇トレンドがすぐに再開する可能性がある。
長年にわたり、テザーに代表されるステーブルコインは、スポット市場で暗号資産を購入し、デリバティブ取引を行うための主要なメカニズムとして台頭してきた。2021年後半以降、トレーダーはトークンマージンよりもステーブルコインで証拠金決済される暗号資産先物を好むようになっている。
ステーブルコインを証拠金とする先物は、市場のボラティリティに関係なく担保の価値が安定し、直線的なペイオフを提供する。そのため、トレーダーは常に担保のヘッジを探す必要がない。
ビットコインのMVRV-Zスコアのような他の指標も、最も抵抗の少ない経路が高い側にあることを示している。
MVRV Zスコアは、実現時価総額からの市場時価総額の差を測る指標で、過小評価あるいは過大評価の状態を分析するために使われる。
歴史的に、MVRVのZスコアが0を下回ると市場の底を示し、7を上回ると天井を示す。Glassnodeのデータによると、記事執筆時点のスコアは2.87で、ビットコインが買われすぎたり、頂点に近づいたりしていないことを示している。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
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|原文:Stablecoin Expansion Continues as Bitcoin Rally Appears to Stall