イーサリアムのレイヤー2ネットワークは2030年までに1兆ドルの評価額を得る:VanEck
  • 投資会社のVanEckは、イーサリアムのレイヤー2ネットワークは2030年までに1兆ドルを超える評価額になると予測しているが、それらのネットワークの長期的な見通しについては「全般的に弱気」のままだ。
  • 同社は、5つの主要分野にわたって46のレイヤー2ネットワークを評価し、最終的に出現する「数千」のロールアップを予測した。アービトラムは最も広範なエコシステムであり、180億ドル以上のトークンがロックされている。
  • VanEckは、取引価格、開発者の経験、ユーザーの経験、信頼の前提、エコシステムの規模がレイヤー2ネットワークの成長に関与する可能性があると述べた。

投資会社のVanEckは、イーサリアム(Ethereum)のレイヤー2ネットワークは、ベースケースシナリオでは2023年までに1兆ドル(約150兆円、1ドル=150円換算)を超える評価額になると予測しているが、それらのネットワークの長期的な見通しについては「全般的に弱気」な姿勢を崩していない。

同社は、5つの主要分野にわたって46のレイヤー2ネットワークを評価し、最終的に出現する「数千」のロールアップを予測した。アービトラム(Arbitrum)は現在、180億ドル(約2兆7000億円)以上のトークンがロックされた最大のエコシステムであり、46のネットワークでロックされた360億ドル(約5兆4000億円)の大半を占めていることがデータで示されている

VanEckのアナリストであるパトリック・ブッシュ(Patrick Bush)氏とマシュー・シゲル(Matthew Sigel)氏は、イーサリアムが最終的にすべてのパブリック・ブロックチェーンの市場シェアの60%を占めると予測している。彼らは、イーサリアムのエコシステム内の資産量を軸にその推定をモデル化した。

レイヤー2とは、イーサリアムのようなメインのブロックチェーンの上に構築された二次的なネットワークやインフラストラクチャのことで、スケーラビリティやスピードの向上に役立つ。ロールアップはある種のスケーリングシステムである。

VanEckは、レイヤー2ネットワークの長期的な成長には、最終的に以下のような要因が絡んでくると述べている。

  • トランザクションの価格設定:レイヤー2ネットワーク上での取引にかかるユーザーのコストは、ユーザーを惹きつけるための重要な要素だ。トランザクション価格の差別化は、データ圧縮、規模、証明コスト、利益率などの要因に起因する。
  • 開発者を引き付けること: イーサリアムからのスマートコントラクトとツールのシームレスな移植を保証するイーサリアム仮想マシン(EVM)の互換性は、レイヤー2ネットワークが開発者を引き付けるために最も重要だ。
  • ユーザー体験: 資産のオンボーディングと引き出しプロセスのスピードは、最終的にユーザー体験を形成することになる。
  • 前提となる信頼性: レイヤー2上のデータの可用性と、エクスプロイトやハッキングを防止するための措置に関する信頼の構築が必要だ。
  • エコシステムの規模:レイヤー2ネットワークのエコシステムの強さはその価値に大きく影響する。ロックされた価値は、機会を捉えるためにエコシステムに投入された資金を示すため、エンゲージメントを示している。

リスクは残る

一方、ブッシュ氏とシゲル氏は、レイヤー2トークンの間で熾烈な競争が繰り広げられると予想し、このセクターのアウトパフォームについては概して弱気だと述べている。

「大半のレイヤー2トークンの長期的な価値見通しについては、全般的に弱気だ」と彼らは述べている。「レイヤー2の上位7トークンは、合計ですでに400億ドル(約6兆円)のFDV(完全希薄後時価総額)を持っており、中期的に立ち上げを予定している強力なプロジェクトが多数ある」。

「これは、今後12~18カ月の間に、レイヤー2トークンのFDVがさらに1000億ドル(約15兆円)増える可能性があることを意味する。暗号資産(仮想通貨)市場が大幅なディスカウントなしにその限られた供給量を吸収するには、あまりにも遠い橋のように思える」とアナリストは付け加えた。

イーサリアムレイヤー2カテゴリのトークンの評価額は200億ドル(約3兆円)強であることがCoinGeckoのデータで明らかになっている。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Ethereum Layer 2s Could Rocket to $1T Base Valuation by 2030, VanEck Says