- 世界各国はステーブルコイン規制の手法を統一させる必要があると金融安定研究所は報告書で述べた。
- 国によって規制手法に違いが生じると、国際金融システムの統合に課題をもたらす可能性があると同研究所は指摘した。
金融安定研究所(FSI)は4月9日に発表した報告書の中で、各国はステーブルコインに対する規制の枠組みを一貫したものにする必要があると警告した。
国際決済銀行(BIS)とバーゼル銀行監督委員会(BCBS)が共同で設立したFSIは、世界の規制当局の金融システム強化を支援することを任務としている。同研究所は、ステーブルコイン(法定通貨などの資産と連動した暗号資産/仮想通貨)にまつわる政策実施の現状に関する報告書で、各国の規制・監督の違いから生じるリスクについて注意を促した。
FSIのフアン・カルロス・クリサント(Juan Carlos Crisanto)副議長とヨハネス・エレントラウド上級顧問(Johannes Ehrentraud)、デニス・ガルシア・オカンポ(Denise Garcia Ocampo)上級顧問は、報告書で「ステーブルコインは、地域によってまだ規制されていないか、あるいは規制が緩い」と述べた。
主な要件に関しては多くの規制に類似性が見られるが、ステーブルコインの設計上の特徴やリスク認識に違いがあると著者らは主張する。このような規制・監督アプローチの分断は、国際金融システムの統合に課題をもたらし、金融の安定性を脅かす可能性があるとFSIは警告している。
世界各国は数年前から、ステーブルコインの規制方法を模索してきた。例えば英国は、2023年にステーブルコインを決済手段として認める法案を可決し、欧州連合(EU)は、ステーブルコインを扱う発行体やサービスプロバイダーを監督するための画期的な暗号資産市場規制(MiCA)を可決した。日本もステーブルコインの規制を開始し、米国はステーブルコイン法案を検討している。
FSIは、ステーブルコインの定義や分類は国によって違いがあることから、金融の安定性にリスクをもたらす可能性があると指摘する。また、ステーブルコイン発行体が価値を維持するために保有する準備資産の開示要件にも差がある。
「ステーブルコインのリスクに対処し、規制逃れを防ぎ、デジタル資産のエコシステムにおいて公平な競争環境を確保するためには、一貫した規制枠組みの構築とグローバルでの実施が不可欠である」とFSIは報告書で述べた。
中央銀行デジタル通貨(CBDC)や他のデジタル資産とステーブルコインの相互運用性を確保することも、国際金融システムの統合を促進する鍵になると、報告書は付け加えた。
国際通貨基金(IMF)や金融安定理事会(FSB)といった世界的な組織が、ステーブルコインの基準をすでに発表しているか、現在その策定に取り組んでいる。
|翻訳・編集:行武 温
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|原文:Financial Stability Study Calls for Consistent Regulatory Response to Stablecoins