- イーサリアムとBNBチェーンに続き、スイがネイティブFDUSDを利用できる3番目のブロックチェーンとなる。
- ファーストデジタルのCEOはCoinDeskのインタビューで、スイへの導入はFDUSDを分散型金融にさらに広めるための取り組みの一環であると述べた。
香港を拠点とするステーブルコイン発行企業ファーストデジタルトラスト(First Digital Trust)は4月10日、総供給量が30億ドル(4500億ドル、1ドル150円換算)超に上る同社のドル連動型ステーブルコインFDUSDを、イーサリアム(ETH)とBNBチェーン(BNB)に続き、スイ(SUI)ブロックチェーンに拡大すると発表した。
これは、分散型金融(DeFi)ユーザーの間でFDUSDの利用を促進するための取り組みの一環であると、ファーストデジタルCEOのヴィンセント・チョク(Vincent Chok)氏はCoinDeskのインタビューで語った。
香港のデジタル資産規則に準じて発行されているFDUSDは、米国債と銀行預金に裏付けられ、その価値は1トークンあたり1ドルに固定されている。昨年のローンチ以来、FDUSDは瞬く間にテザー(Tether)のUSDT、サークル(Circle)のUSDC、メーカーDAO(MakerDAO)のDAIに次ぐ第4位のステーブルコインとなり、その時価総額は33億ドル(約4950億円)に達する。
ニューヨーク州の規制当局の命令によって、パクソス(Paxos)がバイナンスUSD(BUSD)の発行を停止して以降、FDUSDは暗号資産(仮想通貨)取引所大手バイナンス(Binance)のプロモーションから大きな恩恵を受けてきた。コインゲッコー(CoinGecko)のデータによると、FDUSDの取引量は過去24時間で100億ドル(約1兆5000億円)を超え、その90%以上がバイナンスでのビットコイン(BTC)、イーサリアム、USDTの現物取引ペアによるものだった。
「スイは新進気鋭のネットワークで、DeFi領域を活発にサポートしている」とチョク氏はインタビューで語った。
「過去1年間の成長も目覚ましく、新参ステーブルコインとして一緒に成長したい」
メタ(Meta)の暗号資産プロジェクト「ディエム(Diem)」を率いた開発者によって設立されたスイは、近年DeFi領域で急成長している。ディファイラマ(DefiLlama)のデータによると、スイの預かり資産(TVL:プロトコルやブロックチェーン上の資産の合計価値を示す、DeFiにおける重要な指標)は、半年前の1億ドル(約150億円)から約7億ドル(約1050億円)に急増している。
さらにFDUSDはスイ上でネイティブに発行される最初の主要ステーブルコインとなった。ディファイラマによると、スイでは現在3億4000万ドル(約510億円)相当のUSDCとUSDTが流通しているが、ユーザーは他のブロックチェーンから両トークンを移動するためにブリッジを使用しなければならず、手数料とリスクが発生していた。
スイ財団(Sui Foundation)のマネージングディレクターであるグレッグ・シウロウニス(Greg Siourounis)氏は、メール声明で「FDUSDの導入はスイコミュニティーに大きな影響を与え、流動性を高め、ネットワークの有用性を拡大し、ビルダーとユーザーに新たな可能性をもたらすだろう」と述べた。
|翻訳・編集:行武 温
|画像:Sunrise over Victoria Harbor in Hong Kong China cityscape (Unsplash)
|原文:Hong Kong-Based First Digital’s $3B Stablecoin Arrives to Sui Network in DeFi Push