サイバー犯罪で選択される暗号資産、ビットコインからステーブルコインへ:チェイナリシス

ブロックチェーン分析企業のチェイナリシス ジャパンは4月10日に「2024 暗号資産犯罪動向調査レポート」の日本語版を公開した。

レポートの主な内容は以下のとおり。

  • 暗号資産の総取引量のうち、不正な取引が占める割合はわずか0.34%にとどまり、前年の0.42%からさらに減少
  • 北朝鮮に関連するハッカーによる、暗号資産の窃盗金額は前年より減少する一方、ハッキングの被害件数は増加
  • ランサムウェア攻撃に対する身代金の支払い金額は、2023年は10億ドルを超えて過去最高を記録

最新のレポートによると、2023年に不正な取引を行う暗号資産アドレスが受け取った金額は242億ドル(3兆6300億円、1ドル150円換算)で、過去最高を記録した2022年の396億ドルから大幅に減少。不正取引のうち最大の金額を占めたものは、経済制裁対象者に関連するもので、金額は149億ドル、不正取引全体の61.5%を占めたという。

だが、2023年の暗号資産オンチェーン取引量全体のうち、不正取引が占めた割合が0.34%。チェイナリシスは暗号資産市場が成熟しつつあることを表していると見ている。

またレポートは、サイバー犯罪において選択される暗号資産が、これまで主流だったビットコイン(BTC)からステーブルコインへ移行していると指摘した。

米チェイナリシス(Chainalysis)のサイバー犯罪リサーチの主幹、エリック・エリック・ジャーディン(Eric Jardine)氏はリリースで「ビットコインからステーブルコインへの移行は、暗号資産史上の成熟度を物語るうえで、興味深い事象だと考えています。2024年の展開としては、ビットコイン現物ETFに関するSECの決定を背景に、暗号資産市場において、より健全で、より競争力のあるカストディ サービスや交換所間での取引が活性化し、市場インフラが成熟する後押しとなると考えています」と述べている。

|文:CoinDesk JAPAN編集部
|画像:リリースより