ビットコイン半減期は強気のイベントではない:10xリサーチのアナリスト
  • 10xリサーチの共同創設者であるマーカス・ティーレン氏は、マクロ経済の不確実性が暗号資産市場に迫っているため、ビットコインは今後数週間で5万ドルまで下落する可能性があると述べた。
  • 過去のサイクル後の価格変動のほとんどはマクロ環境の改善によってもたらされたものであるため、20日に行われる半減期をもってしてもビットコイン価格は上昇しない可能性がある。

著名なリサーチアナリストのマーカス・ティーレン(Markus Thielen)氏は、最近暗号資産(仮想通貨)市場には弱気のシグナルが迫っており、短期的にはほぼ確実に価格を押し下げるだろうと述べた。

ティーレン氏はこれまで暗号資産の強気相場と弱気相場の多くを予測してきたが、現時点では価格を再び上昇させるような材料は見当たらないとCoinDeskのマーケット・デイリー・ポッドキャストで述べた。

ティーレン氏は、「価格を実際に4万ドルから7万ドルの領域に引き上げた典型的な上昇要因はもうない」とし、この主な理由はビットコイン現物ETF(上場投資信託)だと指摘した。ビットコイン現物ETFをめぐっては、投資家が1月の発売当初の高揚感を過ぎてしまい、過去数週間新たな流入がほとんど見られなかったという。

ティーレン氏は、「伝統的金融(TradFi)の投資家の多くはもう積極的ではないようだ」とコメントした。

しかし、ETFへの資金流入の鈍化と最近の暗号資産市場の下落はどちらも、より大きな流れの結果だとティーレン氏は主張。これまで、そして今後も価格の主な上昇要因となるのはマクロ環境だと説明した。

ティーレン氏は、「ビットコインの上昇の多くはおそらく誤った期待に基づいて構築されているのだと思う」とし、「本当に重要なことは、こうしたETFの資金の流れが突然止まったのではなく、消費者物価指数と生産者物価指数が出た3月12日頃に止まったことだと思う」と語った。

昨年末から2024年初めにかけて、トレーダーはインフレ率の低下傾向が続くとの期待から、米連邦準備制度理事会(FRB)が今年複数回利下げすることに賭けていた。この予想によりハイテク株や暗号資産などのリスク資産が大幅に上昇した。

しかし、最近のデータ、特にティーレン氏が言及した3月のインフレ指標は、インフレ率が依然としてFRBの目標である2%を大きく上回っていることを示しており、FRBは今年本当に利下げできるかどうかについての不確実性を繰り返し表明している。

ティーレン氏は、「マクロ的な逆風を排除する必要がある」と述べた。今のところ、同氏は値固めの期間が数週間続く可能性があり、ビットコインは年末にかけて上昇する前に約5万ドル付近まで下落する可能性があると予想している。

ビットコインの半減期は強気ではない

ティーレン氏はまた、多くの人がビットコインにとって非常に強気なイベントになると想定している4月20日の半減期をめぐっても投資家に警鐘を鳴らした。過去の半減期後のサイクルでは、ビットコインが史上最高値を更新するまで上昇していたため、このような期待が生まれている。

しかしティーレン氏は、こうした強気の動きは主にマクロ環境がいい影響を与えた結果であり、半減期そのものによって引き起こされたものではないと主張した。例えば、2020年5月に行われた直近の半減期は、新型コロナウイルス感染症対策での大規模な金融・財政刺激策と同時期だった。

ティーレン氏は、「半減期が大きな上昇要因だとは思えないため、半減期をほとんど信用していない」と述べた。

|翻訳・編集:林理南
|画像:Shutterstock
|原文:Bitcoin Halving Is Not a Bullish Event, Says 10x Research Analyst