4月20日、ビットコインブロックチェーンは4回目となる半減期を迎え、マイナーが取引の検証に対して受け取る報酬は半分になった。
半減期は21万ブロックごとにプログラムされており、およそ4年ごとに発生する。ビットコイン(BTC)の総供給量を制限し、希少性を確立することが目的だ。
そのため、ビットコインマイニング企業にとって、今回の半減期、そして次の2028年の半減期を考えても、競争力を維持するためには効率化が不可欠。電力、オペレーション、ソフトウェアの3つの主要分野を検討しなければならない。
電力
電力はビットコインマイナーにとって最大のコストであり、ハッシュレートを左右する。競争の激しい市場の性質上、マイナーは低コストの余剰電力のみをターゲットにしている。
マイニングのオペレーション効率を最適化することは極めて重要であり、これは主に企業が保有するビットコインマイニングマシンのエネルギー効率に左右される。
収益低下を補うため、マイナーは古くて効率の悪いマイニングマシンを、最新で最も効率の良いものと交換することで、平均エネルギー効率を向上させている。全体として、効率性の高いマシンは利ざやを改善し、業界内での競争力を高めることになる。
マイナーが電力コストを削減するもうひとつの方法は、電力価格が安い地域に移転することであり、その多くは発展途上国にある。
しかし、発展途上国の電力網は、送電インフラの信頼性が低いために安定しないことが多く、マイナーにとっては停電やダウンタイムの可能性が高くなる傾向がある。
ダウンタイムを伴う低価格の電力は、そうした地域で事業を行うメリットを打ち消すかもしれない。また、マイナーは、さまざまなタイプの電力契約を行い、効率性に基づいてマイニングマシンを割り当てることができるようにすることで、マシンの寿命と価値を延ばすことができる。
オペレーション
マイニングマシンのエネルギー効率を最大化することに加え、マイナーは可能な限り多くのビットコインを獲得し、投資に対する最高のリターンを生み出すために、ハッシュレートの利用率を最大化するよう努力する必要がある。
ハッシュレートの利用率を最大化できるかどうかは、企業のマイニングインフラのクオリティと、可能な限り高い生産効率で保有機器のパフォーマンスを維持するデータセンター運用チームの能力にかかっている。
データセンターは、最新の技術と方法を用いて、マイニングマシンのパフォーマンスを最大化し、ダウンタイムを最小化するようなロケーション、設計、オペレーションでなければならない。
ビットコインマイニング企業が事業規模を拡大するにつれて、増大するマイニングマシンの管理能力は、特に事業が複数の地域にまたがる場合、効率性とハッシュレート利用率を高める重要な要素となる。
ソフトウェア
何十万、何百万ものマイニングマシンの管理と最適化を提供するソフトウェアソリューションは、タイムゾーンや国境を越えた効率的でスケールの大きなオペレーションを可能にする。
ビットコインマイニング企業は、電力価格の変化に対応してマイニングマシンを制御できるエネルギー管理ソフトウェアと並んで、事業を最適化し、収益性を最大化するソフトウェアに依存している。
既存インフラの最適化、独自の高性能データセンターチームの結成、独自ソフトウェアの開発、効率的な電力契約管理などができていないビットコインマイナーは、半減期後に困難な時期に直面するだろう。
そのようなマイナーは、業務を劇的に改善するインフラを持つ大手企業に対して非常に脆弱になるだろう。その結果、ビットコインマイニング業界は、より多くの資本を利用できるマイナーが臨機応変に事業を拡大し続け、統合が進む可能性が高い。
競争力を維持するためには、効率的で生産性の高いオペレーションを優先することが、小規模なマイナーにとっては、より重要になる。
ビットコインはその設計上、有限な資源であり、ビットコインのマイニング競争は年を追うごとに激化していく。マイナーは、既存施設とリソースを他の形態のコンピューティングをサポートするために再配置することで、電力割り当てを効率的に未来に向けて確保することができ、2028年以降も採算が見込める地域にマイニング事業を移行させることができる。
アダム・サリバン(Adam Sullivan)氏:ビットコインマイニング企業コア・サイエンティフィック(Core Scientific)のCEO。
|翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸
|画像:ビットコインのマイニング機器(Fran Velasquez/CoinDesk)
|原文:Bitcoin Miners Must Optimize to Survive