- 5月1日、投資家はアメリカのビットコインスポットETFから5億6300万ドルを引き揚げた。
- フィデリティのFBTCが流出をリードし、グレイスケールのGBTC、アーク21シェアーズのARKB、ブラックロックのIBITが続いた。
- FRBのパウエル議長が利上げを否定したことで、ビットコインは一時反発した。
アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル(Jerome Powell)議長が利上げの見通しを否定したことを受けても、投資家はアメリカのビットコイン(BTC)スポット上場投資信託(ETF)を記録的な規模で投げ捨てた。
ファーサイド・インベスターズ(Farside Investors)とCoinGlassによると、11のETFの累計純流出額は5億6370万ドル(約874億円、1ドル=155円換算)で、1月11日に取引が開始されて以来最大となり、5日間の連敗記録を更新した。投資家は4月24日以来、ETFから12億ドル(約1860億円)近くを引き揚げている。
1日にはフィデリティのFBTCが流出の先頭に立った。FBTCとブラックロックのIBITは第1四半期に一貫して資金を集め、比較的コストの高いグレイスケールのGBTCからの定期的な多額の資金流出を補って余りあるものであったため、これは強気派にとっては憂慮すべきことかもしれない。
1日には、GBTCが1億6740万ドル(約260億円)の流出となり、ARKBの9810万ドル(約152億円)、IBITの3690万ドル(約57億2000万円)と続いた。パウエル議長のハト派的な姿勢がビットコインを含むリスク資産を下支えしたにもかかわらず、他のファンドも資金を流出させた。ハト派的スタンスとは、中央銀行が過剰な流動性引き締めよりも雇用や経済の過度な成長を優先することだ。
FRBは予想通り基準金利を5.25%から5.5%の間で据え置いた。記者会見でパウエル議長は、金利を引き下げるには経済が強すぎると述べるとともに、最近の期待外れのインフレ率に煽られた再利上げや流動性引き締めへの懸念をけん制した。
FRBはまた、量的引き締め(QT)と呼ばれる流動性引き締めプログラムを6月から大幅に縮小すると述べた。一方、財務省は債券市場の流動性を改善するため、20年以上ぶりに国債を数十億ドル買い戻すプログラムを発表した。
他のリスク資産と同様、ビットコインは流動性状況の変化に敏感で、パウエル議長の発言を受けて、一時5万6620ドルから5万9430ドルまで上昇した。10年債と2年債の利回りはドルインデックスとともに低下した。
しかし、BTCの反発は短時間で終わり、報道時点では5万7700ドル付近まで下落した。今週初め、アジア初のビットコインとイーサリアム(ETH)のスポットETFが香港でデビューしたが、出来高は期待外れで、暗号資産(仮想通貨)市場のムードを悪化させた。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:CoinGlass
|原文:U.S. Bitcoin ETFs Bleed Record $563M Even as Fed’s Powell Rules Out Rate Hike