アメリカの金融市場で証券の中央管理を担うDTCC(Depository Trust & Clearing Corporation:米国証券保管振替機関)は、ブロックチェーンオラクルのチェーンリンク(Chainlink)や複数の米大手金融機関と提携して行っていた、ファンドのトークン化を加速させることを目指したパイロットプロジェクトを完了した。DTCCが16日に発表したレポートで明らかになった。
Smart NAVと呼ばれるこのプロジェクトの目的は、チェーンリンクのインターオペラビリティ(相互運用性)プロトコルであるCCIPを使用して、事実上あらゆるプライベートブロックチェーンやパブリックブロックチェーンにファンドの純資産価値(NAV)データを提供し、広めるための規格化されたプロセスを確立することだった。市場参加者には、アメリカン・センチュリー・インベストメンツ(American Century Investments)、BNYメロン(BNY Mellon)、エドワード・ジョーンズ(Edward Jones)、フランクリン・テンプルトン(Franklin Templeton)、インベスコ(Invesco)、JPモルガン(JPMorgan)、MFSインベストメント・マネジメント(MFS Investment Management)、ミッド・アトランティック・トラスト(Mid Atlantic Trust)、ステート・ストリート(State Street)、USバンク(U.S. Bank)が含まれていた。
パイロットプロジェクトを完了することで、DTCCは「構造化されたデータをオンチェーンで配信し、標準的な役割とプロセスを策定することで、トークン化されたファンドや、複数のファンドのデータを保有する『大規模消費者』のスマートコントラクトなどの多様なオンチェーンのユースケースに基礎データを埋め込めることを発見した」とレポートには記載された。
チェーンリンクのネイティブトークンであるチェーンリンク(LINK)は、DTCCのパイロットプロジェクトのニュースを受けて7%以上上昇し、5月6日以来初めて15ドル(約2325円、1ドル155円換算)に到達。同時期に若干下落していたCoinDesk 20 Index(CD20)をパフォーマンスで上回った。
債券やファンドなどの伝統的な投資商品の現実資産(RWA)トークン化はブロックチェーン技術のユースケースの中で最も注目されるものの1つとなっている。ブラックロック(BlackRock)、シティ(Citi)、HSBCなどの複数の金融大手は、伝統的な金融ルートを使用した場合と比較した業務の効率化、より迅速な決済、透明性の向上などの利点を追求する競争に参入している。
|翻訳・編集:林理南
|画像:チェーンリンクの共同設立者(Chainlink)
|原文:DTCC, Chainlink Complete Pilot to Accelerate Fund Tokenization with JPMorgan, Templeton, BNY Mellon Participating; LINK Gains 7%