- ヴァンエクのイーサリアムETF申請に関するSECの決定を前に、BTC、ETHは最近の上昇を維持した。
- グレイスケールのイーサリアムトラストのディスカウントが急激に縮小していることから、ETFが承認される確率は90%だと、あるアナリストは述べている。
ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)は5月23日未明に最近の上昇を固めたが、その日のうちに予定されているヴァンエク(VanEck)のイーサリアムスポット上場投資信託(ETF)の申請に関するアメリカ証券取引委員会(SEC)の決定を前に、明確な方向性のバイアスを欠いていた。
CoinDeskのデータによると、時価総額トップの暗号資産(仮想通貨)であるBTCは6万9800ドル近辺、同2位のETHは3800ドル近辺まで小幅ながら上昇した。
それでも、テクニカル分析と市場ポジショニングは強気の基調を示している。2つの暗号資産は、それぞれの一目均衡表の「雲」よりも高い位置を維持して強気の見通しを示唆しており、アナリストのジョシュ・オルシェビッチ(Josh Olszewicz)氏もXで同様の解釈を示している。Amberdataのデータによると、さらなる証拠はデリバティブ取引所デリビット(Deribit)からもたらされた。そこでは、ビットコインとイーサリアムのオプションが引き続き、トレーダーが価格上昇から利益を得られるようにするデリバティブであるコールの偏りが明らかになっている。
この強気ポジションは、SECがイーサリアムのスポットETFを承認し、暗号資産の需要が拡大するとの期待が高まったことに起因していると思われる。
「SECは5月23日(現地時間)、イーサリアムETFを承認するはずだ。ビットコインETFが承認される数時間前、SECのゲンスラー(Gensler)委員長は、暗号資産投資家は投資を行う前にすべての潜在的リスクを考慮すべきであるとツイートした。今日、(アメリカ東部時間の)午前9時ごろにツイートがあり、承認が間近に迫っているかどうかがより明確になるだろう」と10x Researchの創設者であるマーカス・ティーレン(Markus Thielen)氏は顧客へのメモで述べている。
ティーレン氏は、グレイスケール・イーサリアム・トラスト(Grayscale Ethereum Trust)の純資産価値に対するディスカウントは、1週間前の30%からわずか8%に縮小しており、少なくとも「ETFが承認される確率は90%」であることを示唆していると付け加えた。
The Grayscale ETHE discount is now at 7.2%. If this further tightens today then it could be further proof of people buying ETHE to arb the discount on approval.
— Nic (@nicrypto) May 23, 2024
i.e., it's a really good proxy for approval odds.
Keep an eye on it 👀 pic.twitter.com/v4qm2MfBoP
この変更は、今週初めにSECがイーサリアムスポットETFの申請者に書類の更新と修正を求め、承認される可能性を示唆したとの報道を受けたものである。
人気のニュースレター「Crypto Is Macro Now」の著者であるノエル・アチェソン(Noelle Acheson)氏は、CoinDeskに対し、「Financial Innovation and Technology for the 21st Century Act(FIT21:21世紀のための金融イノベーション・テクノロジー法案)」に言及し、「イーサリアムスポットETFが承認されれば、暗号資産業界に対する公の態度が急変するだろう。FIT21に対する敵意は、われわれが懸念していたほど強くないようだ」と述べた。
22日、米下院はこの法律を可決し、暗号資産が商品なのか証券なのかを明確に定義した。証券に分類されれば、SECの監視が厳しくなる。同法案はまた、商品先物取引委員会(CFTC)をSECと並ぶデジタル資産の主要な規制機関とする予定だ。
法案は現在上院に移っており、先行きは不透明だ。可決されても、ジョー・バイデン大統領が拒否権を発動する可能性もある。
エヌビディアが過去最高値を更新
ナスダック上場のチップメーカー、エヌビディア(Nvidia)の株価は、同社の第1四半期の売上高がアナリスト予想を上回り、過去最高の260億4000万ドルに達したことを受け、22日の市場終了後の時間帯に過去最高値を更新した。
この上昇は、人工知能(AI)技術に関連するトークンを含む暗号資産にとってポジティブなシグナルかもしれない。というのも、歴史的に、暗号資産市場やいわゆるAIコインへの資金流入は、エヌビディアやハイテク企業の多いナスダック指数の大幅な上昇を一つの条件としてきたからだ。
Coingeckoのデータによると、FET、ICP、RNDR、GRTなどの主要AIコインは、エヌビディアの発表前に上昇したが、現時点ではまちまちの取引となっている。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Bitcoin, Ether in Stasis as SEC ETF Decision Looms, Nvidia Hits Record High