アメリカのセレブのミームコインは本物なのか──市場の憶測を呼ぶ
  • アメリカのセレブリティ、ケイトリン・ジェンナー氏がソラナブロックチェーン上でトークン「JENNER」をローンチしたようだが、セレブのXアカウントは過去に乗っ取りの事例もあることから、その正当性が疑問視されている。
  • 市場参加者の懐疑的な見方やハッキングであるという主張にもかかわらず、ジェンナー氏のアカウントはトークンの宣伝を続け、その真正性を確認するかのようなビデオまで公開した。

アメリカのセレブリティ、ケイトリン・ジェンナー(Caitlyn Jenner)氏がソラナ(Solana)ブロックチェーン上で発行したトークンが、暗号資産(仮想通貨)市場のオブザーバーの頭を悩ませている。

5月26日遅く、ジェンナー氏のXアカウントの投稿によると、彼女はソラナのミームコイン生成プラットフォームであるPumpを使ってJENNERを発行したという。ソーシャルメディア上の有名人のアカウントは、以前にもトークンや暗号資産プロトコルを偽って宣伝するために侵害されたことがあるため、市場参加者はすぐにハッキングの可能性が高いと見なした。

通常、アカウント侵害は早期に発見され、Xのセキュリティチームによって直ちにシャットダウンされる。しかしジェンナー氏のアカウントは、数時間後もトークンを宣伝し続けた。

投稿には「ハッキングされていない」と書かれている。別の関係者は「我々はJENNERだけに焦点を当てており、最初の24時間で時価総額は5000万ドル(約77億5000万円)に達すると予想している」と述べた

アメリカの有名人の中には、トークンを宣伝しただけでアメリカ証券取引委員会(SEC)に告発された人もいる。

発行から約6時間後、ジェンナー氏のアカウントは、彼女がトークンについて話しているように見える動画を公開した。その投稿では、「ディープフェイクではない」と言い、トークンはわずか4時間で1億1300万ドル(約175億1500万円)以上の取引高を記録したと述べた。

「これは本物です。参加しませんか」とジェンナー氏は動画の中で言った。「新しい私の暗号資産です」

別のビデオ投稿では、ジェンナー氏のマネージャーであるソフィア・ハッチンス(Sophia Hutchins)氏が、トークンは本物であり、彼女が「暗号資産プロジェクトを管理している」と断言している。一部のXユーザーは、その動画をディープフェイクだと断じた

The Blockは、トークンを宣伝する投稿がジェンナー氏のインスタグラム(Instagram)のアカウントでも行われたと報じた。CoinDeskは協定世界時(UTC)10時48分の時点でジェンナー氏のインスタグラムのアカウントでそうした投稿が確認できておらず、削除されたことを示している。

一方、分散型予測市場のポリマーケット(Polymarket)で「ケイトリン・ジェンナーはハッキングされたのか?」に「Yes」と投票したのはわずが4%だった。同サイトでは欧州時間午後の早い段階で120万ドル(約1億8600万円)以上のベットが集まった。

ジェンナー氏のウェブサイトを通じてコメントを求めたが、アメリカが祝日のため、すぐに回答は得られなかった。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Caitlyn Jenner X
|原文:Caitlyn Jenner Meme Coin Sows Confusion as Observers Question Its Provenance