仮想通貨を保有するだけで利息がもらえるサービス開始、取引所コインベース

コインベース(Coinbase)ではトレードしていなくても、利益を得られるという。

サンフランシスコに拠点を置く仮想通貨取引所コインベースの顧客は、保有するドル建てのステーブルコインUSDCに対して、10月2日(現地時間)から利息を得ることができるようになる。年利回り(APY)は1.25%だ。

コインベースの製品マネージャーのポール・カツェン(Paul Katsen)氏は、「我々は、顧客がコインベース上で富を増やすためのより多くの方法を構築しようとしている」と述べ、次のように付け加えた。

「我々が知っている悪い顧客体験の一つは、銀行口座からわずかばかりの利息を得るために、コインベースから銀行口座にお金を何度も移動させることだ。我々はこれらの体験のいくつかを統合しようとしているが、それらは仮想通貨ファーストでコインベース上に作る」

口座に少なくとも1ドル相当の仮想通貨USDCを保有する取引所ユーザーは、追加の費用や手数料なしで、自動的に自分の持ち分から報酬を獲得し始める。

ユーザーに毎月支払われるコインベースで得られた報酬はすべてリアルタイムで追跡され、即座に取引所に上場されている他の仮想通貨の購入に使われる。

「ユーザーエクスペリエンスは実際、非常にスムーズでシンプルだ」と、コインベースの製品担当ディレクターのマックス・ブランズバーグ(Max Branzburg)氏は述べた。「アカウントにUSDCがあれば、すぐに報酬が得られるようになり、報酬がリアルタイムで計算されるので、いつでも正確な報酬額を知ることができる。その場ですぐにプラットフォーム上の他の仮想通貨を購入することもできる」

コインベースはこの取り組みにどのように資金を提供しているか、と尋ねられたブランズバーグ氏は、既存のさまざまな収入源から提供する予定だと説明した。「トレーディング、[コインベースの]カストディ業務、資金管理、投資活動等からだ」と同氏は話した。

「我々はビジネスとして得た利益から、顧客が彼らの資産をプラットフォームに貯蓄したことに対する報酬を支払うことができる」とブランズバーグ氏は述べ、更にこう付け加えた。

「収益性のあるビジネスとして、これを行うことができて幸運だ」

ブランズバーグ氏は、USDCリワードプログラムが米国の既存の銀行金利とどのように比較されるかに関連して、米ドル保有に対する1.25%の金利は「全国平均や[伝統的な]貯蓄口座から得るであろう金利の15倍」と説明した。

この利率は、コンパウンド(Compound)dYdXのような分散型金融(DeFi)アプリケーションを利用した場合に得られる利率よりも低いが、ブランズバーグ氏によると、USDCのリワードプログラムを利用すれば、顧客はUSDCでの金利獲得が非常に容易になるという。その理由は、別のアプリケーションやアカウントにお金を移動する必要がなくなるからである。

「特に発展途上国では、人々が米ドル相当の資金を保有し、年間[1.25%]という利息を得ることができるようにするというのは、とても大きな意味がある」と、コインベースと提携してUSDCを立ち上げた仮想通貨金融スタートアップのサークル(Circle)で製品管理担当ディレクターを務めるジョアン・レギナット(Joao Reginatto)氏は言う。「特に発展途上国の消費者から多くの需要があると見ている」

コインベースを除けば、サークルは現在、新USDCコインを発行する唯一の認可企業である。

コインベースとサークルは、共同でCIRCLEコンソーシアムを構成する。同コンソーシアムでは、ステーブルコインUSDCの採用を推進し、継続的発展のための統治フレームワークを提供するものだ。

両社によって、2018年9月26日(現地時間)以来、10億ドル以上のUSDCが発行された。

コインベースのブランズバーグ氏は、USDC以外に、同取引所の他の仮想通貨にも同様のプログラムが存在する可能性が将来的にはあると述べている。

「我々はこれを顧客に報酬を生み出す長期投資の始まりと見ている。今後も、顧客により多くの報酬をもたらすさらなる方法の模索を続ける」とブランズバーグ氏は述べ、こう付け加えた。

「様々な資産、様々な地域を検討している。顧客のためにより多くの価値を創造し続けることは、コインベースにとって常に最優先事項である」

翻訳:新井朝子
編集:T.Minamoto
写真:USDC logo image via Shutterstock 
原文:Coinbase to Pay Users 1.25% Interest on USDC Stablecoin Holdings