ビットコイン現物ETF、2億ドルの純流出──CPI発表と金利決定を前にリスク回避
  • アメリカで上場されているビットコイン現物ETF(上場投資信託)は2日連続で資金流出を記録した。
  • この流出は、アメリカの消費者物価指数の発表と連邦公開市場委員会後の金利決定を前に、トレーダーがリスク回避を行ったことが原因とみられる。

アメリカで上場されているビットコイン(BTC)現物ETF(上場投資信託)は、6月12日に予定されている重要なマクロ経済報告を前に、トレーダーがリスク回避を行ったとみられ、2日連続で資金が流出した。

SoSoValueのデータによると、11日には11のETFで2億ドル(約320億円、1ドル=155円換算)の純流出額が記録され、5月1日の5億8000万ドル(約900億円)以来最高の流出となった。ビットコインの売り圧力が高まる中の出来事で、この暗号資産(仮想通貨)は一時的に6万6200ドルまで下落したが、その後回復した。

グレイスケールのGBTCは、1億2000万ドル(約186億円)と流出額の大半を占め、同種の商品の中でワーストだった。GBTCは、1月に上場して以来、流出額で最悪のパフォーマンスを記録するETFとして悪名高い記録を更新し続けており、累計180億ドル(約2兆7900億円)が流出している。

アーク・インベスト(Ark Invest)のARKB、ビットワイズ(Bitwise)のBITB、フィデリティ(Fidelity)のFBTC、ヴァンエク(VanEck)のHODLは、5600万ドル(約86億8000万円)から700万ドル(約10億8500万円)の資金流出を記録した。純流入のETFはなかった。

トレーダーによると、12日の消費者物価指数(CPI)発表と、2日間の連邦公開市場委員会(FOMC)後の金利決定を前に、リスク回避の動きが流出につながった可能性が高い。

「市場は明日発表されるCPIとFOMCを前にしてリスク回避モードにある。今月のFOMCでは、ドット・プロットも発表される予定で、これは2024年残りの期間にFRBが何回利下げを行うと予想しているかを市場に伝えるものだ」と、シンガポールに拠点を置くQCPキャピタル(QCP Capital)は11日の放送メッセージで述べた。

しかし、同社は長期的な強気の見通しは変わっていないと付け加えた。

「短期的には逆風があるものの、コインを蓄積するには良い機会かもしれない。バイデン(Biden)氏とトランプ(Trump)氏が暗号資産支持票の獲得に向けた論争を繰り広げる中、最終的にイーサリアム(ETH)現物ETFが開始されるかもしれず、強気材料が控えている」とQCPは述べている。

さらに、14日にはジャネット・イエレン(Janet Yellen)財務長官が講演を行う予定であり、その発言内容によっては、以前にも報じられたように、暗号資産などのリスクの高い資産で反応が起こる可能性がある。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Bitcoin ETFs See $200M Net Outflows in Fed, CPI Jitters