- FRBは政策金利を据え置いたが、利下げ予想はこれまでの年内3回に対し、1回のみに変更された。
- FRBのタカ派への転換を受けて、ビットコインはこの日に発生していた大幅な上昇が帳消しになった。
米連邦準備制度理事会(FRB)の連邦公開市場委員会(FOMC)は12日、予想通りフェデラルファンド金利の誘導目標を5.25%~5.50%に据え置いたが、経済見通しでは今年25ベーシスポイントの利下げを1回のみ行うことを予想している。
FOMCは政策声明で、「ここ数か月、委員会の2%のインフレ目標に向けて、緩やかな進展がさらに見られた」と述べた。前回の政策声明では、インフレ抑制に向けた「進展がない」と不満を表明していたため、「緩やかな」という表現が注目される。
経済見通しが更新され、2024年末時点のフェデラルファンド金利に関するFRBの中央予想値は3か月前の4.6%から5.1%に上昇している。これにより、FRBが今年の利下げを25ベーシスポイントの引き下げ1回しか予想していないことがわかる。なお、以前は75ベーシスポイントの利下げが予想されていた。2025年末のフェデラルファンド金利の予想は現在4.1%で、来年は100ベーシスポイントの利下げとなることを示している。
会合後の記者会見で、FRBのジェローム・パウエル(Jerome Powell)議長は、インフレ率は依然として高すぎるとし、FRBは引き続きインフレ率を目標の2%に戻すことに焦点を当てていると述べた。
12日のFOMCの発表に先立ち、5月の米消費者物価指数(CPI)は先月のインフレの予想外の減速を示した。このニュースを受けて、トレーダーがFRBの利下げ開始の予想を上方修正したため、暗号資産、株式、債券市場は急騰した。
その後にパウエル議長が記者会見で確認したFRBの経済見通しのタカ派への転換によって、この上昇の勢いは失われた。ビットコイン(BTC)は、協定世界時(UTC)19時時点で6万7300ドル(約1043万円、1ドル155円換算)に戻り、過去24時間では横ばいだった。米株と債券は上昇して取引を終えたが、この日の高値からは大きく下落した。
|翻訳・編集:林理南
|画像:Helene Braun/CoinDesk
|原文:Fed Sees Just One Rate Cut This Year; Bitcoin Gives Up Session Gains