イケア、スマートコントラクトとeマネーを使った「世界初」の取引実行

家具量販店イケア・アイスランド(IKEA Iceland)は、地元小売業者ノルディック・ストア(Nordic Store)からの注文の決済を円滑化するために、スマートコントラクトとライセンスを受けたeマネーを利用して、イーサリアム上での商業取引を行った。

今回の取引は、サプライチェーン・マネジメント企業トレードシフト(Tradeshift)が提供するプラットフォーム上で行われ、コンセンシス(ConsenSys)が支援するブロックチェーン開発企業、モネリウム(Monerium)の「プログラム可能なデジタルキャッシュ」を利用した。トレードシフトが2019年10月1日(現地時間)に発表した。

具体的には、ノルディック・ストアがイケアから商品を購入し、モネリウムによってトークン化された通貨アイスランド・クローナを利用してeインボイスを決済した。

モネリウムとトレードシフトは、今回の「世界初」の取引によって「政府の規制を受けた、プログラム可能なeマネーは、主流市場での利用の準備が整っている」ことが示されたと述べた。

6月に報道された通り、アイスランドの首都レイキャビクに拠点を置くモネリウムは、アイスランド金融監督局(FME)から、初の電子マネー事業者(Electronic Money Institution)としてのライセンスを受け、欧州経済領域(European Economic Area:EEA)でブロックチェーンシステム上で法定通貨での支払いサービスを提供するために規制当局からの認可を受けた初めての企業となった。

電子マネー事業者規則は元々、2008年の金融危機の後、EU(欧州連合)によってプリペイドのデビットカードのために定められた。

「『スマートインボイス』によって、我々はインボイス上の将来のキャッシュフローを1ドル単位で表すトークンを発行することができる。トークンを保有する人は誰でも、期日に支払いを受けることになり、スマートインボイスは金融サービスアプリに利用するのに理想的」とトレードシフトの共同創業者、ガート・シルベスト(Gert Sylvest)氏は述べた。

今回の取引の「スマートインボイス」も作成したトレードシフトは2018年5月、2億5000万ドル(約270億円)を集めたシリーズEの資金調達ラウンドで、ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)の支援を受けたことで知られる。資金調達によって、トレードシフトの企業価値は11億ドル(約1200億円)となり、同社のブロックチェーン業界へのさらなる進出を象徴した。

イケア・アイスランドのCEO、ステファン・アーナソン(Stefan Arnason)氏は、次のように述べた。

「プログラム可能な金融サプライチェーンでは、取引パートナーがスマートコントラクトを通じて情報のフローと資金のフローをつなげることができる。それはサプライヤーと顧客の相互作用を変えることになる」

翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
写真:IKEA image via Shutterstock
原文:IKEA in ‘World First’ Transaction Using Smart Contracts and Licensed E-Money