- ナイジェリア連邦内国歳入庁はバイナンス幹部のティグラン・ガンバリャン氏とナディーム・アンジャルワラ氏に対する脱税容疑を取り下げた。
- 同庁は、バイナンスのみが現地代理人を通して被告となるよう、訴状を修正した。
- ナイジェリア当局は2名の幹部を拘束した後、バイナンスおよび両名をマネーロンダリングと脱税の容疑で起訴していた。
ナイジェリア連邦内国歳入庁(FIRS)は、暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)幹部のティグラン・ガンバリャン(Tigran Gambaryan)氏とナディーム・アンジャルワラ(Nadeem Anjarwalla)氏に対する脱税容疑を取り下げた。
FIRSは、同取引所のみが現地代理人を通して被告として記載されるよう、訴状を修正することに同意。病床にあるガンバリャン氏は、出廷する必要がなくなり、バイナンスが単独の被告となった。なお、同国経済金融犯罪委員会によるマネーロンダリング訴訟の被告としては2名の名前はまだ残っている。
バイナンスはナイジェリア当局に対し、ガンバリャン氏は同社における意思決定権を持っていないため、法廷で同社を代表する必要がなく、釈放されるべきとの説得を試みている。ガンバリャン氏とアンジャルワラ氏は2月、当局による同取引所の調査中に拘束され、アンジャルワラ氏は直後に脱出した。当局はその後、マネーロンダリングと脱税の容疑で両幹部とバイナンスを提訴した。
「これは、ティグランもナディームもバイナンスにおける意思決定者ではなく、勾留や起訴されるべきではなかったことを示している」と家族の代理人は現地時間6月14日にメールで発表した声明で述べた。ガンバリャン氏はバイナンスの金融犯罪コンプライアンス責任者であり、アンジャワラ氏は同社アフリカ事業のディレクターだった。
マネーロンダリング案件の次回の審理は現地時間6月19日に予定されており、「基本的権利の行使を求める命令の申請が審理される」と声明で述べられている。裁判は20日に再開される予定で、ガンバリャン氏は現在もクジェ刑務所に勾留されている。
「ティグランが家族の元に帰ることを許されるよう、経済金融犯罪委員会(EFCC)も同様の措置をとることを期待している」とバイナンスの広報担当者は電子メールで声明を発表した。
「ティグランは110日間勾留されており、最近はマラリアと肺炎の診断を受けるなど、体調は悪化している。バイナンスは、本件の解決に向けてナイジェリア政府と尽力し続ける旨を表明する」
悪化する病状
現地時間5月23日にガンバリャン氏はマラリアのために法廷で倒れた、と家族の代理人による声明では述べられている。それ以来、「病状は悪化し、ティグランは今、肺炎を患っている」。
声明によると、エメカ・ヌウィテ(Emeka Nwite)判事が同氏を病院に連れて行くよう命じたものの、刑務所は簡易検査に連れて行くまでに11日もかかり、検査結果はまだ家族に伝えられていないという。
ティグラン氏の妻、ユキ・ガンバリャン(Yuki Gambaryan)氏は声明で「我々は、無実のアメリカ市民の即時釈放を求めてアメリカ政府がより強力に介入することを強く望む」と述べた。
「事態はあまりにも長引いており、ティグランは命の危機に瀕している」
米CoinDeskは、同国の連邦内国歳入庁と最高裁判所にコメントを求めているが、まだ返答はない。
|翻訳・編集:T.Minamoto
|画像:ナイジェリアで拘束されているバイナンスのコンプライアンス責任者、ティグラン・ガンバリャン氏(Shutterstock/Consensus)
|原文:Nigeria Drops Tax Charges Against Binance Executives