- 金融安定理事会は、新興国および発展途上国においてステーブルコインがもたらすリスクについて、さらに調査を進める。
- また、暗号資産分野におけるステーブルコインの採用率の高まりがもたらす課題についても検討する。
金融システムにシステミックリスクをもたらす可能性のある事象を監視する金融安定理事会(FSB)は、新興国および発展途上国においてステーブルコインがもたらす課題について、さらなる調査を行うと述べた。
6月14日の声明によると、この決定は基準設定と助言を行う唯一の意思決定機関であるFSBの全体会議がトロントで開かれた際に下された。 ステーブルコインとは、ドルや金などの別の資産に価値が固定されている暗号資産(仮想通貨)のことだ。
FSBは世界的な暗号資産政策の立案機関の一つだ。昨年、FSBは国際通貨基金(IMF)とともに暗号資産に関する共同政策ペーパーを策定し、この分野に関連するリスクを軽減するために全面的な禁止措置を導入しないようにとの警告を発した。先週の会議で、FSBのメンバーは暗号資産分野の「さらなる注意を要する」分野について議論した。
「新興市場および発展途上国(Emerging Markets and Developing Economies:EMDEs)では、暗号資産が金融政策と資本フロー管理に特別な課題をもたらしている」とFSBは述べている。 「メンバーは、EMDEsにおけるグローバルなステーブルコイン協定の比較的高い普及率とその仕組みがもたらすリスクと課題について議論した。FSBはこれらの課題にどう対処できるかを検討するためのさらなる作業を行う予定だ」。
ステーブルコイン規制は、主要7カ国(G7)とより規模の大きいG20と間で懸案事項となっている。先週イタリアで開催されたG7サミットでも、この相違点は解決に至っていない。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:金融安定理事会のクラース・ノット委員長。(Nikhilesh De/CoinDesk)
|原文:Financial Stability Board to Extend Its Work on Stablecoin Risks in Emerging and Developing Economies