ビットコインとイーサリアムは高値圏を維持、だがアルトコインが苦戦している理由とは

ソラナ（SOL）、アバランチ（AVAX）、アプトス（APT）、スイ（SUI）などは、過去数カ月に40〜70％下落し、アルトコインのセンチメントを圧迫したが、ビットコイン（BTC）とイーサリアム（ETH）は年初来高値から15％の下落にとどまっている。
ベンチャーファンドは、過去数年間に行った投資の利益を確定するために売却を迫られているとマーカス・ティーレン（Markus Thielen）氏は指摘。
暗号資産市場への資金流入の不足は、「今後大規模なアンロック（ロック解除）が予定されているトークンや、新しいトークン、エアドロッププログラムに特に悪い影響を与える」とアナグラム（Anagram）のパートナー、デビッド・シャトルワース（David Shuttleworth）氏は述べた。

暗号資産市場は少なくとも、ビットコインとイーサリアムに投資した人々にとっては。昨年10月から今年3月にかけての上昇の後、健全な保ち合い局面を迎えている。

しかし、より時価総額の小さな暗号資産を保有する人々にとっては、厳しい反落局面となっており、暗号資産ソーシャルメディア界隈のセンチメントは弱気市場時の絶望に似ている。

ビットコインとイーサリアムは年初来高値から15%しか下落していないが、ソラナ（SOL）やアバランチ（AVAX）などは3月のピークから40〜50%下落、さらにスイ（SUI）やアプトス（APT）は60〜70%下落している。

Good advice for pure ultra long time frame investors, but I operate both trading and venture books

I believe the cycle is over for 99% of alts,

Hold what makes sense to hold for multi year/decade investments
— Andrew Kang (@Rewkang) 2024年6月21日

Integrated Kyle e/acc：
タイムホライズン（投資期間）を伸ばそう

Andrew Kang：
純粋な超長期投資家には良いアドバイスだが、私はトレーディングとベンチャーの両方を運営している。

99％のアルトコインでは、サイクルが終わったと思う。

数年/数十年単位で投資する意味があるものは長期保有しよう。

ベンチャーファンドからの売り圧力、アンロックの拡大、暗号資産への新規資金の流入不足、季節的な傾向などのすべてが、アルトコイン（ビットコインやイーサリアムなど時価総額の大きな銘柄以外の暗号資産を指す用語）の低迷につながっている。

高い希薄化

多くのアルトコインでは、数年先まで予定されているアンロックや配布によって、トークンの供給が常に希薄化している。これは現状、トークンのほとんどがロックアップされたり、初期投資家によって購入されたり、エコシステムの開発や助成金に充てられているためだ。

例えば、イーサリアムのレイヤー2ネットワーク、アービトラム（Arbitrum）のトークン「ARB」は、その供給量が大幅に増加したため、時価総額が10億ドル（1600億円、1ドル160円換算）から25億ドルに上昇したにもかかわらず、昨年9月に記録した史上最安値に近づいている。

もうひとつの例はソラナで、その供給量は毎日7万5000トークン（現在の価格で約1000万ドル相当）ずつ膨れ上がっている。

「ETFによる資金流入や債券の買い戻しによる一定の受動的な買いがある株式とは異なり、暗号資産、特にアルトコインにはその逆で絶え間ない売り圧力がある」と暗号資産ヘッジファンド、レッカー・キャピタル（Lekker Capital）の創業者クイン・トムソン（Quinn Thomson）氏はXに投稿した。

売り圧力の大部分は、ベンチャーキャピタルファンドが過去数年間に立ち上げられたプロジェクトへの初期投資で利益を確定したことに起因する。

「ベンチャーキャピタルファンドは、市場が急落するなか、2022年第1四半期に130億ドルを投資した。AI（人工知能）がより注目を集めるテーマとなったことで、これらのファンドは現在、投資家から資本の返還を迫られている」と10xリサーチ（10x Research）の創業者マーカス・ティーレン氏は語った。

ここ数カ月のように、より小規模でより投機的な暗号資産に対する市場の意欲が減退し、取引高が減少している時に、この供給ショックを吸収するだけの需要はない。

新規資金の流入不足

暗号資産市場への流動性流入も過去数週間で停滞、あるいは逆転しており、このことは主に暗号資産取引の仲介手段として使用されているステーブルコインの時価総額が示している。

TradingViewのデータによると、4大ステーブルコインであるテザー（Tether）のUSDT、サークル（Circle）のUSDコイン（USDC）、ファースト・デジタル（First Digital）のFDUSD、メイカー（Maker）のダイ（DAI）の時価総額合計は、今年初めに300億ドル拡大した後、4月以降横ばいとなっている。