- ステーブルコインの発行体が保有する米国債の総額が、世界で18番目の金額に。
- 米国政界で暗号資産を扱った法案の中でも、ステーブルコイン関連の法案は議会を通過して法制化される最有力候補。
米政府の債務管理に対する懸念が強まる中、米国債の主要な買い手としてステーブルコインの発行体が急速に台頭している。
タガス・キャピタル(Tagus Capital)の集計データによると、ステーブルコインの発行体は現在、累積で1200億ドル(約18兆6000億円、1ドル155円換算。以下同様)以上の米国債を保有している。これは、ドイツや韓国など主要な経常黒字国を抜き、世界第18位の米国債保有者ということになる。
同社によると、ドルに連動した暗号資産(仮想通貨)として時価総額では世界を代表するテザー(USDT)を発行するテザー社(Tether Ltd)は、単独で約910億ドル(約14兆1050億円)分の米国債を保有しており、USDコイン(USDC)の発行体であるサークル(Circle)は、レポ取引分を含む290億ドル(約4兆4950億円)相当の米国短期国債を保有している。
奇しくも、米国政界に数多く存在する、暗号資産を扱った法案の中でも、ステーブルコイン関連の法案は議会を通過して法制化される最有力候補だ。今年行われる選挙前に米国で新たなステーブルコイン関連の法律が成立する可能性はある。4月には、大物下院議員であるパトリック・マクヘンリー(Patrick McHenry)氏が、米国で年内にステーブルコインの法律が制定されるだろうと強気だった。
しかし、再認証を受ける法案で、ステーブルコインとの脈絡はないものの議会の通過が確実視されるものに、ステーブルコインに関する規制を盛り込もうという試みは失敗に終わった。その後、氏はCoinDeskに対して「あと一歩のところまで来ている。あとは上院で日の目を見るための、立法に向けた予定を立てるだけだ」と語っている。
また、マクヘンリー氏は、議会を通過するのが確実な法案に付随させて立法を行う絶好の機会がレームダック会期であるとの見解を示した共和党のトム・エマー(Tom Emmer)下院院内幹事の考えに同調した。選挙終了から2025年1月に次期大統領が就任するまでの移行期間がレームダック会期となる。
米国政府の債務は今年初めに34兆ドル(約5270兆円)の大台を突破し、100年ごとに約1兆ドル(約155兆円)ずつ、さらに増え続けている。債務返済費用である債務の利払いは、2024年には8920億ドル(約138兆2600億円)に達すると予測されている。急増する債務により、米財務省は2023年以降、国債の供給を強化している。
現地時間6月18日、米議会予算局によれば、米国の借金は2034年までに50兆ドル(約7750兆円)に達する可能性があり、これは年間経済生産高の122%に相当する。
今年初め、同局は、債務に関する懸念の高まりが放置されれば、米ドルの急落と政治的不確実性が特徴となるリズ・トラス型の市場混乱につながる可能性があると警告した。暗号資産の専門家達も以前から同様の意見を持っており、債務についての懸念と国債への信頼喪失がビットコイン(BTC)や金のような代替資産を広く取り扱うことに拍車をかける可能性があると述べている。
|翻訳・編集:T.Minamoto
|画像:TheDigitalArtist/Pixabay
|原文:Stablecoin Issuers Now 18th Largest Holder of U.S. Debt