- 暗号資産市場は7月、マウントゴックス債権者から売り圧力で下振れリスクに直面する可能性があるとJPモルガンは述べた。
- 債権者は14万2000ビットコインを受け取る予定で、一部の債権者が受け取ってすぐに売却する懸念があるという。
- 暗号資産市場は8月に回復すると同行は予想している。
暗号資産(仮想通貨)市場は7月、2014年に破綻したビットコイン(BTC)取引所マウントゴックス(Mt. Gox)が債権者への弁済を開始するため、債権者から売り圧力がかかり、下振れリスクに直面する可能性があるとJPモルガンは26日、リサーチレポートで述べた。
マウントゴックスの再生管財人は今週初め、7月に債権者への弁済を開始すると発表。一部の債権者が受け取ったビットコインをすぐに売却するとの懸念から、発表は暗号資産市場を動揺させたとJPモルガンは指摘。債権者は、14万2000ビットコイン、現在の価格で約90億ドル(約1兆4400億円、1ドル160円換算)相当を受け取る予定だ。
「ジェミナイ(Gemini)の債権者はここ数週間で受け取った暗号資産の一部を売却したと推測され、最近のこの行動を考慮すると、今回の懸念は正しいだろう」とニコラオス・パニギルツォグロウ(Nikolaos Panigirtzoglou)氏率いるアナリストはレポートに書いている。
5月29日以降の暗号資産市場のネガティブな値動きを見ると、「ジェミナイの債権者の一部(主に個人)は、ここ数週間で少なくとも部分的な利益確定を行ったと推測するのが公平だ」と同行は述べた。破綻した暗号資産レンディング企業ジェネシス(Genesis)との和解後、ジェミナイ・アーン(Gemini Earn)のユーザーは同サービスに預け入れていた暗号資産のすべてを現物で受け取ったと、ジェミナイは5月29日に発表した。
マウントゴックス債権者への弁済期限は10月だが、弁済の大部分は7月に行われるとJPモルガンは予想している。
マウントゴックス債権者による売却が7月に集中した場合、暗号資産市場は7月に下振れし、8月に回復することが予想されるとレポートは述べた。
破綻した暗号資産取引所FTXの債権者への現金支払いは、10月7日以降に予想され、これが市場をサポートする可能性はある。だが、問題はマウントゴックス債権者からの潜在的な売り圧力とFTXの債権者からの再投資の間に約3カ月のタイムラグがあることだとレポートは付け加えた。
|翻訳:廣瀬優香
|編集:CoinDesk JAPAN編集部
|画像:Shutterstock
|原文:Crypto Markets to See Selling Pressure in July From Mt. Gox Creditors: JPMorgan