- 6月28日の早朝、6年間使われていなかったウォレットから1000BTCがコインベースに移動した。
- 大口の長期保有者が今四半期にコインを売却しており、市場に弱気圧力が加わっている。
- FRBが重要視するインフレ指標の発表を受け、金曜日にはボラティリティが上昇する可能性がある。
6年間使われていなかったクジラのウォレットが、6月28日の早朝に突然動き出し、ビットコイン(BTC)をコインベースに移動させた。
LookonchainとArkham Intelligenceが追跡したデータによると、12EMDoUhaNCuWZeeT6ey61AkjKyzmjV2m3という暗号資産ウォレットが、6100万ドル(約97億6000万円、1ドル=160円換算)以上に相当する1000BTCをCoinbase Proに預け入れた。注目すべきは、これらのコインは6年前にわずか668万ドル(約10億7000万円)で取得されていたことだ。クジラとは、1000BTC以上を保有するウォレットを指す。
今四半期にいわゆる休眠ビットコインウォレットが動き出し、コインを取引所に移動させる動きが目立っている。27日にはビットコインマイナーと関連のあるウォレットが14年ぶりに目を覚まし、50BTCをバイナンス(Binance)に移動した。
アナリストは、これらの休眠保有者は、価格が過去最高値付近で推移している間に換金しようとしているか、あるいはデリバティブ市場で投機的な取引を行っているのではないかと推測している。
長期保有者による売却、マイナーによる清算の加速、ドイツ政府による保有コインの売却が相まって、今月のBTC価格は9%近く下落した。
記事執筆時点で、ビットコインは6万1500ドル付近で取引されており、火曜日以降少なくとも4回、6万2000ドル以上の価格を維持できなかったことがCoinDeskのデータから明らかになっている。
アメリカ東部時間の金曜日午後には、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)が重視するインフレ指標である5月のコア個人消費支出(PCE)価格指数の発表を受けて、価格変動が激しくなる可能性がある。ブルームバーグによると、エコノミストはPCE価格指数に大きな変化はなく、コアPCEは前月比0.1%のわずかな上昇にとどまり、その結果、ヘッドラインとコアの数値は年間2.6%上昇すると予想している。
インフレ指標の好転は、今年中のFRBによる利下げの可能性を強め、現在、5万ドルに向けてさらに下落しそうなビットコインの下支え要因になるかもしれない。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Long Dormant Whale Sends $61M BTC to Coinbase, OnChain Data Shows