- ビットコインは5月以降初めて5万8000ドルを下回り、24時間で5%の損失を記録した。
- 1カ月間使用されていなかったマウントゴックスのウォレットがテスト取引で動き出し、潜在的な資産の弁済と売り圧力の増加を示唆した。
ビットコイン(BTC)は欧州時間朝に5万8000ドルを割り込んだ。24時間での損失を5%近くまで拡大し、5月初旬以来の水準まで下落した。
この暴落は、閉鎖された暗号資産(仮想通貨)取引所マウントゴックス(Mt. Gox)のウォレットが1カ月ぶりに動きを見せたことと、ドイツの連邦刑事庁が7500万ドル(約120億円、1ドル=160円換算)分のコインを取引所に移動させたことがきっかけとなった。
「価格下落の主な理由のひとつは、ドイツ当局が5000万ドル(約80億円)以上を取引所に移動させ、市場に売り憶測を生んだことだ」と、暗号資産ファンドMetalphaのシニアトレーダーであるルーシー・フー(Lucy Hu)氏はテレグラムのメッセージで述べた。
マウントゴックスは、2014年のハッキング被害で盗まれた資産の顧客への弁済を今月開始する予定だが、延期が繰り返されており、いつになるかは不明だ。弁済はビットコインとビットコインキャッシュ(BCH)で行われる予定で、以前にも報じられたように、両市場に売り圧力が加わる可能性がある。
アーカム・インテリジェンス(Arkham Intelligence)が追跡したウォレットの動きによると、マウントゴックスのウォレットはアジア時間朝にテスト取引を行い、3つの取引で合計25ドル(約4000円)相当のビットコインを別のウォレットに移動させた。
大量のトークンを保有するエンティティは、大規模な送金を行う前に少額の送金を繰り返すことで知られており、これは売却の意図を示している可能性もある。
また、アーカムのデータによると、ドイツ当局と見られるウォレットは1億7500万ドル(約280億円)相当のBTCをさまざまなウォレットに移動させ、そのうち7500万ドル(約120億円)相当を暗号資産取引所であるクラーケン(Kraken)とコインベース(Coinbase)に移動していたことが明らかになった。アーカムのミゲル・モア(Miguel More)CEOは以前、CoinDeskの取材に対し、ウォレットから取引所への送金はトークンを売却する意図を示している可能性があると述べていた。
一方、ビットコインは昨年10月以来初めて、広く利用されているテクニカル指標を下回り、今後数カ月の下落トレンドの可能性を示唆している。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Bitcoin Nosedives Under $58K Amid Mt. Gox, German Government Wallet Movements