- マウントゴックスの不安によって、BTCは2022年11月以来、1週間で最大の下落を記録した。
- ビットフィネックスによると、予想を下回るアメリカの雇用はBTCの下支え要因になる可能性がある。
- 7月5日発表予定の雇用統計では、6月の雇用増加ペースが大幅に鈍化したことが示される見通しだ。
ビットコイン(BTC)の売り圧力が強まる中、あるアナリストは下落を和らげるきっかけとして、7月5日(日本時間午後9時半)に発表されるアメリカの雇用統計に期待を寄せている。
時価総額トップの暗号資産(仮想通貨)であるビットコインは、経営破綻した取引所マウントゴックス(Mt.Gox)が債権者への弁済のため、26億ドル(約4160億円、1ドル=160円換算)相当のビットコインを移動させたという報道を受け、5日の早朝から5万4000ドルを割り込んだ。その後、マウントゴックスは顧客への弁済を開始したと発表し、ビットコインは落ち着いた反応を見せた。
記事執筆時点で、CoinDeskのデータとTradingViewによると、ビットコインは1週間で13%以上下落しており、2022年11月のFTXの破綻以来、1週間で最大の下落となっている。
アメリカ労働統計局(BLS)は、6月の非農業部門雇用者数(NFP)報告を協定世界時(UTC)7月5日午後12時半(日本時間午後9時半)に発表する予定だ。FactSetが調査したエコノミストのコンセンサス予測によると、NFPのデータは、6月の雇用者数が19万人増加し、5月の27万2000人の増加から大幅に鈍化したものの、失業率は4%で横ばいになると予想されている。
インフレ率に関する明るいニュースとしては、平均時給の上昇率は5月の0.4%から6月には0.3%に鈍化し、前年同月比3.9%の上昇となる見通しだ。
2020年からビットコイン市場に参入しているマクロトレーダーにとって、最大の関心事はアメリカ連邦準備制度理事会(FRB)による利下げのタイミングと回数だ。先週金曜日のアメリカのPCEインフレ率の軟調な発表を受けて、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のFedWatchツールによるとトレーダーは今年2回の利下げをほぼ織り込み済みだ。
暗号資産取引所ビットフィネックス(Bitfinex)のデリバティブ部門責任者ジャグ・クーナー(Jag Kooner)氏によると、金曜日の雇用統計で予想を下回る雇用増加が示された場合、いわゆるハト派的でリスク資産を支持する期待はさらに強まる可能性が高い。
「NFP報告が予想を下回る雇用成長を示した場合、今後の利下げ期待が高まり、金融緩和政策を見越した投資家が代替資産を求めることでビットコイン価格が上昇する可能性がある」とクーナー氏はCoinDeskにメールで述べた。
マクロトレーダーや機関投資家が好む、アメリカで上場しているビットコイン現物ETF(上場投資信託)への資金流入は、「市場参加者が経済の不確実性がFRBの利下げにつながるだろうと考える場合」にペースが加速する可能性があるとクーナー氏は説明している。
しかし、クーナー氏は、流入の規模は市場全体のセンチメントやリスク資産全般に対する需要によって左右されると警告した。
「大幅な資金流入になるかどうかは、より広範な市場センチメントやリスク資産への需要に依存するだろう。しかし、現状では最近、非常に期待外れな資金流入と『押し目買い』の欠如が見られる」とクーナー氏は述べた。「労働市場がより回復力があるとみられる場合、ビットコインは、短期的な利下げの可能性が薄れるにつれ、下落圧力に直面するかもしれない」。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:U.S. Nonfarm Payrolls Eyed as Bitcoin Heads for Largest Weekly Loss Since FTX’s Collapse