ムード一変
バイデン大統領が大統領選から撤退し、カマラ・ハリス副大統領が民主党の大統領候補になることがほぼ確実となったことでムードは一変した。オープンソースの情報サイトによると、バイデン大統領が撤退を表明して以来、民主党にフォーカスした資金調達サービス「ActBlue」には1億6,000万ドルが集まったという。一方、ハリス氏の選挙陣営は22日午後までに8100万ドルを受け取ったと発表した。
ポイント
暗号資産業界にとって重要なことは、ハリス氏はバイデン氏と暗号資産に対するスタンスがどの程度異なるのか、そしてトランプ氏とは違いは、という点だ。ハリス氏が事実上の民主党候補者となってからまだ数日足らずで、現時点では何とも言えない。明確なことは、何らかのリセットの可能性があることだ。
起業家のマーク・キューバン氏は政治メディアのPoliticoに対して、ハリス陣営が暗号資産(その他の問題も含め)に関心を示していることを伝えた。一方、Bitcoin Magazineのデビッド・ベイリー(David Bailey)氏は、ハリス陣営と今週末、ナッシュビルで開催される「Bitcoin Conference」でスピーチしてもらうことを交渉していると語った。
業界団体なども新たな動き
民主党の大統領候補であるカマラ・ハリス氏が暗号資産にどのようなアプローチを取るかは予測が難しいが、同氏が今、民主党の新たな旗手となった事実だけでも、暗号資産業界が11月の大統領選挙に向けて新たなアプローチを取る可能性を示している。
「与えられたカードで勝負するしかない。そして今、私たちは新しいカードを手に入れた」と、業界団体Crypto Council for InnovationのCEO、シーラ・ウォーレン(Sheila Warren)氏は述べた。
ハリス氏が民主党の選挙キャンペーンをすぐに、そしてあからさまに暗号資産にアピールする方向に転換させる可能性は低いが、複数の関係者は、ハリス氏の登場はリセットにつながるだろうと話した。
ある議会スタッフは、新しい選挙キャンペーンは「リセットする機会」を提供すると述べ、業界団体はすでにハリス陣営と民主党に対して暗号資産に関する公開書簡を書いていると指摘した。彼らの見解では、ハリス陣営はこれらの問題により理解を示す可能性がある。
議会スタッフとウォーレン氏が指摘したことはすなわち、ハリス氏はテック業界の多いカリフォルニア出身であることから、すでにテクノロジーや関連問題により精通している可能性があるということだ。
「ハリス氏はテクノロジーの重要性を知らないわけではない。カリフォルニア州ではテクノロジーは極めて重要」とウォーレン氏は述べ、「ハリス氏は思慮深い議論に常にオープンな人物」と付け加えた。
副大統領候補たち
ハリス氏が副大統領候補に選んだ人物も注目される。現在候補に挙がっている人物には、ペンシルベニア州知事のジョシュ・シャピロ(Josh Shapiro)氏、ノースカロライナ州知事のロイ・クーパー(Roy Cooper)氏、アリゾナ州選出の上院議員のマーク・ケリー(Mark Kelly)氏、運輸長官のピート・ブティジッジ(Pete Buttigieg)氏など、「大半がビジネスにかなり前向きな人物」とウォーレン氏は述べている。ハリス氏がそのような人物を選ぶことは、意味のある動きだろう。
業界団体もすでに、民主党とハリス氏陣営に対して、暗号資産業界への「敵意」を和らげることを求める公開書簡を作成している。
「デジタル資産およびブロックチェーン業界のリーダーと話し合い、このテクノロジーを支援し、育成する政策について話し合うことを強く求める。業界専門家とのオープンな対話により、貴重なインサイトが得られ、消費者保護と金融の安定を確保しながら成長を促す政策の策定に役立つ」とデジタル商工会議所(Digital Chamber)の書簡は記している。
|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部
|画像:Shutterstock
|原文:What Does Kamala Harris’ (Presumptive) Nomination Mean for Crypto This Election?