イーサリアム開発カンファレンス「EDCON」が東京で7月24日から30日まで開催されている。会場は渋谷にある国連大学と、過去2回オリンピックの会場となった国立代々木競技場。29日は「EDCON 2024」のメインイベントが代々木競技場でスタートした(30日まで)。
第2体育館で始まったメインイベントの幕開けに登壇したのは、サッカー元日本代表であり、投資家としてWeb3分野にも注目しているという本田圭佑氏。「サッカー選手としては引退していると思われているかもしれないが、再びプロ選手としてプレーする機会を探している」と自己紹介した。なお、スイスを拠点にZKロールアップの開発に取り組むINTMAXの共同創業者で、Japan Blockchain Weekの共同創業者である藤本真衣氏がモデレーターを務めた。
社会にとって有用かどうか
本田氏のファンド「X&KSK」は、先日、自動運転のスタートアップへの投資を発表したばかり。その投資スタンスについて「日本からデカコーン(企業評価額100億ドルを超える企業)を生み出すことがミッション」と語り、2018年にアメリカでVCを立ち上げたが、日本政府がスタートアップ支援を打ち出したことを受けて「日本人創業者の企業にフォーカスしている」と述べた。
藤本氏からWeb3に注目したきっかけを問われると「ビットコインの分散型コンセプトに衝撃を受け、Web3に注目するようになった」と振り返ったが、「Web2、Web3は意識していない。重要なのは、これからの社会のためになるものかどうか。社会にとって有用なサービスには、魅力を感じて投資したくなる」と続けた。
日本におけるWeb3の可能性については、政府の前向きさは認めつつも、ドバイなどの一部海外に比べれば規制が緩いとは言えないと指摘。日本でWeb3ビジネスを始めるなら「政府などのポリシーメーカーとコミュニケーションを取りながら、ビジネスを進めていける人が必要だろう」と述べた。
勝てるチームづくりには「議論」が不可欠
日本代表として、またグローバルな舞台で活躍し、また監督・GMとしてカンボジア代表を率いてきた本田氏。国や地域の枠を超えたチームを作り上げる方法について問われると「むしろWeb3ビジネスをグローバルに展開している皆さんに質問したい」と切り返しつつも、「勝つためのチームづくりをするためには、メンバーが夢や野望を共有する必要がある。ただし、単なる仲良しではダメだ。それぞれが自分の意見を主張し、議論する必要がある」と力を込めた。
世界を目指す日本のスタートアップに投資する「X&KSKファンド」を立ち上げた本田氏だが、「日本人にとって、他人と違うことをするのは難しいことだ。周囲に合わせろと言われて育つし、夢や野望を語れば笑われる。だから多くの起業家も、日本市場で戦って、IPOするところまでしか考えていない」と苦言。世界で戦うためには、より長期的、より大きなビジョンを掲げて考えることが重要だとエールを送った。
なお、明日30日、EDCONメインイベントは隣の第1体育館に場所を移して開催される。チケット代は不要(登録のみ)。暗号資産、ブロックチェーンの最先端に携わる人たちが東京・渋谷に結集するレアな機会(パリでオリンピックが始まったタイミングで、過去2回、オリンピックの舞台になった体育館でのイベントに参加するというのも感慨深い)。ぜひ、その雰囲気だけでも感じてみてほしい。
|文・渡辺一樹・増田隆幸
|編集・写真:増田隆幸