- イングランド銀行は、中央銀行デジタル通貨(CBDC)と分散型台帳技術(DLT)に関する一連の試験を行う予定だと発表した。
- また、ステーブルコインやトークン化された預金で「貨幣の一元性」が維持されるよう実験を行う予定だという。
イングランド銀行は、決済の動向を把握し、金融テクノロジーの発展がもたらす機会とリスクを評価するために、分散型台帳技術(DLT)とホールセール型中央銀行デジタル通貨(wCBDC)を用いた一連の試験を計画していると発表した。
暗号資産(仮想通貨)とそれを支えるDLTの台頭により、世界中の中央銀行は両者との関わり方を模索している。多くの中央銀行は、単独、共同、あるいは国際決済銀行(BIS:世界の中央銀行の連合組織)を通じて、開発中のテクノロジーが世界の金融システムに与える影響を調査するプロジェクトに取り組んでいる。例えば、イングランド銀行は、BISのプロジェクトアゴラに参加し、7つの銀行間で単一プラットフォーム上での複数の通貨のトークン化された商業銀行預金と中央銀行マネーを交換するテストを行おうとしている。
「通貨と決済に対する信頼は、金融と通貨の安定に対する銀行の責任の基本だ」と、アンドリュー・ベイリー(Andrew Bailey)総裁は7月30日のディスカッションペーパーの序文で述べた。「この分野でのイノベーションが進むにつれ、堅牢でダイナミックなイギリス経済を支えるために、我々の役割も進化しなければならない」。
中央銀行が発行する通貨と分散型台帳プラットフォームが相互作用する1つの方法は、いわゆる同期化だとディスカッションペーパーは述べている。これは、ある資産が1つのプラットフォームから別のプラットフォーム(DLTに基づくものを含む可能性あり)に移転される際に、取引の現金部分を銀行の即時グロス決済(RTGS)台帳に記録する方法だ。
機関投資家のみが利用できるデジタルトークンであるwCBDCは、プログラム可能なプラットフォームとの相互作用に役立つ可能性があるとディスカッションペーパーは指摘している。
「我々の実験プログラムは、中央銀行による資金供給の革新から得られる一連の政策成果に基づいて行われる」とイングランド銀行は述べている。「このプログラムは、wCBDCと同期の両方、そしてこれら2つのアプローチの相対的なメリットを網羅することになる」。
同行は、財務省、決済システム規制当局、金融行動監視機構(FCA)と協力し、ステーブルコインが関与する場合でも貨幣の一元性が維持されるようにすると述べた。つまり、現金、銀行預金など、あらゆる形態の貨幣が相互に交換可能であるようにするということだ。
ディスカッションペーパーの中で、同行は、ステーブルコインとトークン化された預金(プログラム可能なプラットフォーム上で表現された預金債権)の間で貨幣の一元性が維持されるよう、一連の試験を実施すると述べている。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:イングランド銀行(Camomile Shumba)
|原文:Bank of England to Carry Out CBDC, Digital Ledger Experiments