- 米国の消費者は、クレジットカードの支払いの延滞が増え、借り入れペースが鈍化している。
- これは、法定通貨から暗号資産への資金流入が抑制されていることを意味すると10x Researchは述べた。
円キャリートレードの巻き戻し(解消)は5日以降一服し、ビットコイン(BTC)を含むリスク資産は安定しているようだ。だが、10x Researchの創設者マーカス・ティーレン(Markus Thielen)氏によると、米国の消費者の借り入れ鈍化など、他のリスクが依然として残っているという。
米連邦準備制度理事会(FRB)が7日発表したデータによると、消費者信用残高は5月の前月比139億ドル増(改定値)に続いて、6月も89億ドル増となった。だが、予想の100億ドル増には届かなかった。
クレジットカードなどのリボ払いの信用残高は17億ドル減少し、2021年初頭以来最も大きな減少。学費や自動車ローンを含むリボ払い以外の信用残高は106億ドル増加し、この1年で最大の増加となった。
それよりも懸念は、家計のバランスシートが悪化しているサインとなる延滞率の上昇だろう。2024年第2四半期(4-6月期)には、クレジットカードの支払いの延滞者(90日以上返済が遅れている者)の割合が10.93%となり、2012年第1四半期以降で最高水準となった。一方、自動車ローンの延滞率は4.43%で、こちらも2021年以降で最高水準。
ティーレン氏によると、これは米国の消費者の借り入れ能力が限界に達していることを示しており、暗号資産の強気シナリオにとってはリスクになるという。
「米国の消費者信用残高は弱含みで、5月の発表値の113億ドルから6月は89億ドルに減少した(予想の100億ドルを下回った)。主な原因は、珍しくクレジットカードの信用残高が減少し、一方で支払いの延滞率が上昇したことで、個人の貯蓄率が崩壊していることを示している。これは暗号資産にとって大きな影響がある。なぜなら、米国の消費者の借り入れが限界に達し、法定通貨から暗号資産への資金流入が抑制されていることを示しているからだ」とティーレン氏は顧客向け文書に記している。
同氏はまた、暗号資産市場に対するリスクとして、選挙をめぐる不確実性、米国経済の減速、そしてAI(人工知能)ブームの衰退をあげた。AI銘柄を代表するエヌビディアの株価はTradingViewによると、6月に140ドル付近でピークを迎え、その後、98ドルまで下落している。
|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部
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|原文:Bitcoin Faces Risk From ‘Maxed Out’ U.S. Consumers, Analyst Says