- 元日銀審議委員の櫻井眞氏は年内の追加利上げを否定し、リスク資産にとっては好意的な発言となった。
- 次に動きがあるとすれば2025年3月になるかもしれない、と述べられた。
日銀の元幹部は、日銀が追加利上げを来年に延期すると発言し、目下は市場の安定が優先であることが示唆された。
ブルームバーグによると、元日銀審議委員の櫻井眞氏は8月9日遅くに「少なくとも年内は追加利上げできないだろう」と予想し「来年3月までに1回の利上げができるかどうか微妙なところだ」と述べた。
日銀は7月31日、政策金利をゼロから約0.25%に引き上げ、10年以上ぶりの利上げを実施した。また、追加利上げも示唆された。
ゼロ金利政策からの転換は日本円を上昇させ、「リスクオン」の円キャリートレードの巻き戻しを引き起こした。その結果、伝統的なリスク資産の下落がビットコイン(BTC)に重くのしかかり、7日足らずで約65000ドル(約955万円、1ドル=147円換算)から50000ドル(約735万円)まで暴落した。
ビットコインはその後、米国金融でリスクリセットの兆しが見られる中、58000ドル(約853万円)を超える水準まで回復した。
市場の安定化と金融緩和の維持
市場の混乱を受けて、日銀の内田眞一副総裁は「市場が不安定な時は利上げしない」とタカ派な姿勢を後退させた。
「内田氏の発言は適切だった。市場の安定化は今とても重要だからだ」と櫻井は述べた。
また、「日銀は過剰な金融緩和から適切な金融緩和へと移行しつつある。最大の問題は、植田総裁が緩和を維持することをしっかりと伝えられなかったことだ。日銀は常に緩和を維持することを条件としている」と櫻井氏は付言している。
|翻訳・編集:T.Minamoto
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|原文:Ex-Bank of Japan Official Rules Out Another Rate Hike This Year