XRPオプション市場活況──XRP ETF誕生への期待
  • デリビットに上場するXRPの1.10ドルコールオプションにトレーダーは200万ドル以上をロックインしており、これは利用可能なすべてのXRPオプションの中で最高額となっている。
  • 新設のXRPオプション市場における建玉の多さは、ETFの楽観的な見方を反映していると思われる。

暗号資産(仮想通貨)取引所デリビット(Deribit)の新しいエックス・アール・ピー(XRP)オプション市場は活況を呈している。特に、この決済に特化した暗号資産の価格が今月末までに倍増するとベットすることを表す1.10ドル(約161円、1ドル=147円換算)のコール・オプションで活発化している。

本記事執筆時点でアンバーデータ(Amberdata)が追跡したデータによると、現地時間8月28日に満期を迎えるXRPの1.10ドルコールオプションの建玉は434万7000枚、244万ドル(約3億5800万円)相当であり、デリビットで利用可能なXRPオプションの中で最も人気がある。この金額は、設立からまだ5ヶ月しか経過していないオプション市場にとっては非常に大きなものである。

いわゆる建玉(アクティブなベット数)は、この5ヵ月間だけで83万8000枚増加した。

暗号資産金融プラットフォームであるブロフィン(BloFin)のオプション取引・調査責任者であるグリフィン・アーダーン(Griffin Ardern)氏によると、1.10ドルコールの動きが活発化しているのは、ネット・ロング・ポジションを反映している可能性が高いという。

「ガンマ分布からは、現地時間8月30日に期限切れのネットロングポジションのように見える。過去2週間の0.75ドル(約110円)のレジスタンスレベルを破ることができれば、XRPの価格は1.10ドルを超えて上昇する可能性が高い」とアーダーン氏はCoinDeskのインタビューに答えた。

「おそらく機関投資家が米国でXRP ETF(上場投資信託)を申請する可能性が高く、それが価格急騰を促す重要な要因になるかもしれない」とアーダーン氏は付け加えた。

CoinDeskのデータによると、XRPは先月30%以上上昇し62セント(約91円)となったが、その後57セント(約83円)強まで戻している。

コール・オプションは、購入者に原資産であるXRPを期日までに所定の価格で購入する権利を与えるが、義務は負わない。コールの買い手は基本的に市場に対して強気であり、コールが買われた水準を超えて上昇することにベットする。ガンマとは、オプションのデルタの変化率のことで、原資産価格の変化に対するオプシ ョン価格の感応度を反映する。

XRP ETF誕生への期待

CoinDeskはデリビットに詳細を問い合わせた。

現地時間8月7日、アナリサ・トーレス(Analisa Torres)連邦地裁判事は、2020年のXRP無登録販売に関する訴訟に端を発する、リップルラボ(Ripple Labs)に対する米証券取引委員会(SEC)の申し立てへの判決を下した。裁判所はXRPの機関投資家向け販売に対して1億2500万ドル(約183.7億円)の罰金とさらなる違反行為の差し止めを課したが、SECによる20億ドル(2940億円)の罰金要求は却下した。

リップル(Ripple)はこの判決を勝利として歓迎し、米国でのXRP ETF誕生の可能性に対する期待に火をつけた。規制当局は今年初めにビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)のETFを承認し、数十億ドルに上る市場からの資金に扉を開いた。

それでも、パルサー・トレーディング・キャピタル(Pulsar Trading Capital)のオプション・トレーダーであるマーティン・チャン(Martin Cheung)氏は、現地時間8月28日までに価格が1.10ドルを超えて上昇するかどうかについては懐疑的な見方を示した。

「XRPは今年大きく上昇し、さらに、次に承認されるETFがXRPとソラナ(SOL)になることに人々はベットしていると思う」と、1.10ドルのXRPコールオプションの需要増加について問われたチャン氏は答える。

「そのうえで、8月末というのは早すぎる。XRPのETFが発表されれば、価格は例えば20%ほど上昇するかもしれないが、1.10ドルは遠すぎる」と付言された。

|翻訳・編集:T.Minamoto
|画像:Shutterstock
|原文:XRP Bullish Options’ Popularity Jump May Be Due to ETF Speculation, Observers Say