- CryptoQuantによると、取引所のステーブルコイン比率が低下しているということは、ビットコイン市場での売り圧力低下を意味する。
- 2大ステーブルコインのUSDTとUSDCは供給量が増加し続けている。
ビットコイン(BTC)は先週、一時5万ドル(約735万円、1ドル=147円換算)を割り込むという大きな展開を見せた後、急速に6万ドル(約882万円)近くまで回復した。
この回復には注目が必要な可能性がある。中央集権的な取引所に紐づいたウォレットに保有されているビットコインの数とステーブルコインの数を比べる「ステーブルコイン比率(Exchange Stablecoins Ratio:ESR)」を見ると、売り圧力の減少が示唆されているからだ。
ブロックチェーン分析会社CryptoQuantが追跡したデータによると、この比率は2023年2月以来の低水準まで下がり、昨年6月に始まった長期的な下落トレンドを引き延ばした。
CryptoQuantはCoinDeskとのテレグラムチャットで「これは、ビットコインをステーブルコインに変えるトレーダーが減り、ビットコインの売り圧力が減ったことを示している可能性がある」と述べた。
「さらに、これは強気な市場心理を示唆している可能性があり、トレーダーは将来の価格上昇を見越してビットコインを保有しているようだ」とCryptoQuantは付け加えている。
ステーブルコインは、その価値が米ドルなど他の存在にペッグされた暗号資産である。これらのデジタル資産は、投資家が他のトークンに関連する価格変動を回避するのに役立ち、暗号資産のスポット購入やデリバティブ取引の資金調達に広く利用されている。
チャートプラットフォームのトレーディング・ビュー(TradingView)によると、時価総額上位2つのステーブルコインであるテザー(USDT)とUSDコイン(USDC)の合計供給量は、現地時間8月5日の市場暴落以降、およそ20億ドル(約2940億円)増加し、1,501億5,000万ドル(約22兆円)に達した。前年比では、USDTとUSDCの合計供給量はほぼ30%増加している。
これは、市場への法定通貨の流入が続いていることを示しており、おそらくは、より安いバリュエーションでビットコインを買い占めようとするバーゲンハンターたちによるものだろう。
この展開は、一部のアナリストによる建設的な見通しと一致するものだ。
「スポットETFは現地時間8月12日にプラスのネットフローを記録している。ビットコインは約2800万ドル(約41億円)のプラス、イーサリアム(ETH)は500万ドル(約7.3億円)のプラスで、週末の下落後、機関投資家から下支えされた。これは、恐怖の時代における、一種の回復力を示しており、またビットコインのボラティリティの長期的な低下を促す可能性のあるものだ。現地時間8月12日、我々が言及した58500ドル(約860万円)の水準は強く維持され、ビットコインは59500ドル(約875万円)に戻る前に60500ドル(約890万円)を上回った」と、デジタル資産調査会社BRNのアナリストであるヴァレンティン・フォーニエ(Valentin Fournier)氏はCoinDeksに対して電子メールで述べている。
「モメンタムは弱いが、我々が予測したようにポジティブなままである。今後数週間で、ビットコインはレンジの上限トレンドである6万7000ドルから6万9000ドル(約985万円から1014万円)に近づくと見ている」と同氏は付言した。
|翻訳・編集:T.Minamoto
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|原文:Bitcoin’s Prospects Strengthen as Key Stablecoin Metric Slides to Lowest Level in 18 Months