米国時間15日午後、数日間の静かだった市場は急に終わり、暗号資産(仮想通貨)市場は突然急落、ビットコイン(BTC)は8月初めの下落以来の最安値となった。
当記事執筆時点、ビットコインは約1時間前の価格からさらに3%近く下落し、5万7700ドル付近(日本時間16日7時頃には、5万7380ドル付近)となっている。イーサリアム(ETH)やソラナ(SOL)など、他の主要銘柄はさらに大幅に下落。市場指標のCoinDesk 20 Index(CD20)は、24時間で3%下落。
この夏は、2度のパニック的な下落が起きた注目すべき夏となっている。最初の下落は、米国が7月4日の祝日を楽しんでいる最中に起きた。きっかけとなったのは、ドイツ政府機関が犯罪捜査の一環として押収した5万ビットコインの売却を開始したことだった。2度目の下落は、2週間前、日本銀行の利上げが引き金となって株式市場の世界的な急落が起こり、暗号資産をはじめとするすべてのリスク資産に波及した。
今日の下落には今のところ、明確なきっかけは見当たらない。米国の株式市場は再び上昇しており、ナスダックは2.4%、S&P500は1.6%上昇している。両指数とも、8月初めの下落以前の水準まで回復している。
好材料を無視
ポジティブな材料が次々と出てきているにもかかわらず、価格が反応しないため、最近の動きに強気派が苛立ちを覚えるのも無理はない。
第一の好材料は、株式市場の回復。株式市場の上昇は、FRB(米連邦準備制度理事会)の緩和政策がほぼ確実視されていることに一部起因している。短期金利市場は2週間以上前から、9月の金利引き下げを織り込んでいる。金融緩和政策はこれまで、暗号資産にとって追い風となることが証明されてきたが、今のところ、価格に反応は見られない。
もうひとつの好材料は、ビットコインの機関投資家による採用が加速していること。ETF Storeのプレジデント、ネイト・ジェラチ(Nate Geraci)氏によると、最新のSECへの提出書類を見ると、ビットコインETFの機関投資家保有者は1924に達したという。第2四半期(4-6月期)に価格が下落したにもかかわらず、第1四半期の1479人から増加していると同氏は指摘した。
また、ビットコイン保有高を増やすために資本市場を活用しようとする上場企業も増え続けている。ビットコインマイナーのマラソン・デジタルは今週、転換社債で3億ドルを調達し、1ビットコインあたり約5万9000ドルで4000ビットコイン以上を購入した。数カ月前にビットコイン保有計画を発表した医療機器メーカーのセムラー・サイエンティフィック(Semler Scientific)は、今週、SEC(米証券取引委員会)から1億5000万ドル以上の資金調達の承認を受けた。資金はビットコインの購入に充てられる。
|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部
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||原文:Bitcoin Tumbles Back Under $58K as Crypto Quickly Crumbles Thursday Afternoon