イーサリアムのRenzoが「ezSOL」でソラナのリステーキングに参戦

ソラナ(Solana)ブロックチェーン上で「リステーキング」のフレームワークを開発する取り組みが加速しているようだ。「リステーキング」とは、すでにステーキングされているトークンを使って、新しいプロトコルやアプリケーションのセキュリティを確保する方法。ユーザーは、ステーキングしているトークンから、さらに利回りを得ることができるようになる。

ソラナ向けインフラツールを開発しているJito Labsは、メインネット上で計画されているリステーキングサービスをまだローンチしていない。しかし、この潜在的に収益性の高い未開発分野に潜む可能性だけでも、ローンチパートナーを惹きつけるには十分なようだ。

アイゲンレイヤー(EigenLayer)やシンバイオティック(Symbiotic)をはじめとするイーサリアムベースのリステーキングプロジェクトで知られるリキッドリステーキングプロトコルのレンゾ(Renzo)は8月14日、「ezSOL」と呼ばれるソラナ派生トークンのローンチを準備していることを明らかにした。

このトークンは保有者に、Jitoの利回り付きインフラへのエクスポージャーに加え、ステーキングとリステーキングによって生まれるトークンも提供する。

これは、アイゲンレイヤーの先駆的なリステーキングエコシステムにおける確立されたプレーヤーのひとつであるレンゾにとって、新たな挑戦となる。

レンゾのezETHは、イーサリアム最大のリキッドリステーキングトークンのひとつ。ユーザーのイーサリアム(ETH)またはイーサリアム・リキッドステーキングトークンを取得し、特定のブロックチェーンアプリで「リステーキング」して、経済的安全性を提供し、その過程で利回りを生み出す。

レンゾの創設に貢献したルーカス・コジンスキー(Lucas Kozinski)氏は、多少言い回しは異なるものの、同じ原則がJitoのリステーキングプロトコルにも適用されると述べた。

アイゲンレイヤーは、リステーキングによって安全を確保したブロックチェーンアプリを「active validated services:AVS」と呼び、Jitoは「Node Consensus Networks:NCN」と呼んでいる。

「リステーキングは、リキッドステーキングが成長したことと同様に、DeFi(分散型金融)における最大分野になると考えている。リステーキングにまつわる複雑さのため、誰もがトークンに注目していると思うが、AVSや、JitoのケースではNCNを保護できるようにするために、どれだけのインフラを実行する必要があるのかを人々は理解していない」とコジンスキー氏は語った。

レンゾのezSOLの仕組み

レンゾのezSOLは、Jitoのステーキングトークンである「jitoSOL」と密接に連携して機能する。SOLをレンゾに入金したソラナユーザーは、ezSOLトークンを受け取るとコジンスキー氏は説明する。

舞台裏では、レンゾがそのSOLをJitoにステーキングしてjitoSOLを手に入れ、そこで報酬をMEV(最大化)し、ソラナブロックチェーンのネイティブな利回りへのエクスポージャーを得る。その後、レンゾはそのjitoSOLをNCNでリステーキングする。

レンゾのイーサリアム上でのリキッドリステーキングの仕組みと、間もなく登場するソラナ上での仕組みの間にはいくつかの類似点があるものの、すべてを動かすのは、単に古いシステムを新しいシステムに接続するよりもはるかに複雑だ。

ソラナはイーサリアムとは全く異なるアーキテクチャに従っており、アプリは異なるコーディング言語で書かれている。

コジンスキー氏は、ezSOLのスマートコントラクトを開発するためにRustのエンジニアを雇ったと述べた。プレスリリースによると、これらのスマートコントラクトは、リステーキングによって生成された価値をezSOLの価格にリレーするという。

すべてが計画通りに進めば、ezSOLはSOLと連動して取引されるが、JitoのステーキングトークンであるjitoSOLのように、SOLよりもわずかに高く取引されることになる。

ソラナはまた、イーサリアムとは異なる暗号資産文化を持っている。ユーザーベースには暗号資産トレーダー、ステーカー、借り手が混じり合っているが、ほとんど一致していない。

各チェーンにはそれぞれ流儀があり、その中には一方のネットワークが実質的に、時には哲学的にもう一方より優れていると信じている者もいる。

このようなダイナミズムは、文化的・技術的な隔たりを越えようとした他のブロックチェーンアプリを破滅に追い込んだ。イーサリアムのリキッドステーキングのリーダーであるリド(Lido)は、かつてソラナのステーキングサービスに挑戦し、両チェーンで優位に立とうとした。その取り組みは失敗に終わり、2月には撤退した。

そのため、イーサリアムのリステーキングの世界でのみ有名なレンゾが、ソラナで成功する可能性はあまり高くないだろう。

レンゾはイーサリアム製品を放棄したわけではないが、別のチェーンへの展開の方が、イーサリアムだけに留まるよりも可能性があることに賭けている。

コジンスキー氏は、レンゾならうまくいくと主張している。レンゾのチームはJitoのチームと文化的に似ており、活動にインセンティブを与えるような形で連携できるという。

また、レンゾは単独で取り組んでいるわけではないとも、コジンスキー氏は指摘した。その製品は、ソラナでこれまで最も成功したスタートアップのひとつであるJitoに直接供給されている。

「イーサリアムのユーザーはソラナを使うことに興味があるかもしれない。ソラナユーザーはイーサリアムを使うことに興味を持つかもしれない。しかし、ここでさらに重要なことは、レンゾのユーザーベースを拡大し、我々がこの1年、アイゲンレイヤー上で開発することで蓄えた専門知識を活用することにある」と、コジンスキー氏は語った。

|翻訳・編集:山口晶子
|画像:レンゾの創設に貢献したルーカス・コジンスキー氏(Renzo)
|原文:As Restaking Takes Shape on Solana, Ethereum’s Renzo Jumps in With ‘ezSOL’