伝説的バスケ選手が未登録証券を販売との裁定──米NFT集団訴訟
  • シャキール・オニール氏は、アストラルズNFTプロジェクトのために行ったプロモーションに関し自身に対して起こされた集団訴訟で、複数の申し立てにつき自身を弁護をしなければならなくなった。
  • 裁判所は、同氏が実際に権力を行使した人物であるという訴えについては却下している。

現地時間8月16日付の裁判所文書によると、伝説のバスケットボール選手シャキール・オニール(Shaquille O’Neal)氏がNFT(非代替性トークン)プロジェクト「アストラルズ(Astrals)」で担った役割を問題として起こされた集団訴訟について、一部が米国の裁判所で棄却されたものの他の一部は認められた。

アストラルズというプロジェクトは、1万個のNFTであり3Dアバターのコレクションと、「革新的なプロジェクトをインキュベートする」ための分散型自律組織 (DAO) を含むものであった。アストラルズNFT は仮想アバターとして使用でき、ギャラクシー(Galaxy)トークンは DAO のガバナンストークンだった。

訴訟では、オニール氏がアストラルズの顔として投資家に「手遅れになる前に波に乗れ」と呼びかけていたと主張されている。2022年11月に暗号資産(仮想通貨)取引所FTXが破綻した際も、オニール氏はコミュニティ掲示板ディスコード(Discord)に映画『ウルフ・オブ・ウォールストリート』から引用した「私は絶対に辞めない」と書かれたGIF画像を投稿していたと裁判所の文書には記されている。その後オニール氏がプロジェクトから逃げ出し、「アストラルズの金融商品の価値は急落した」と訴訟では主張された。

類似訴訟への影響も

フロリダ州南部地区連邦地方裁判所マイアミ支部は、オニール氏が「支配的な立場にいた者」、つまり実際の権力や支配力を行使した人物であるという申し立てを却下した。

一方で、オニール氏が自身は同社役員や取締役ではないと主張したものの、裁判所は、同氏が商品の購入を成功裏に勧誘したことから、同氏のプロジェクトへの関与は「販売者」の定義に該当すると判じた。

なお、アストラルズが未登録の「証券」であるトークンを販売したという申し立てについては、却下されなかった。

本件の投資家側弁護士であり、FTX、ボイジャー(Voyager)、バイナンス(Binance)の訴訟でも投資家の代理人を務めるアダム・モスコウィッツ(Adam Moskowitz)氏は、この判決により、係争中の他の暗号資産関連の集団訴訟に明確さがもたらされる可能性があると示唆する。

「モレノ(Moreno)地方判事が暗号資産と有名人のプロモーションに関して初となる包括的な判断を下したことは、私たちにとって非常に幸運なことだ。これにより、当該地区で係争中の他の暗号資産関連の集団訴訟すべてに明確さと理解をもたらされた。」

オニール氏とアストラルズ・プロジェクトは、申し立てに対して現地時間2024年9月12日までに回答することとなっている。

CoinDeskはオニール氏にコメントを求めたが、連絡を取ることはできなかった。

|翻訳・編集:T.Minamoto
|画像:Shutterstock
|原文:Shaquille O’Neal Will Have to Defend Some of the Allegations Against Him in the Astrals NFT Lawsuit