米共和党主要議員、年内の暗号資産法制実現に望み残す

2024年の暗号資産(仮想通貨)関連法案成立の期限は差し迫っているが、今年中に法案が成立する可能性はまだあるとシンシア・ルミス(Cynthia Lummis)上院議員(共和党、ワイオミング州選出)は現地時間8月21日に述べた。

米連邦準備制度理事会(FRB)による年次のジャクソンホール会議に先立って開催されたSALTワイオミングシンポジウムで講演した同議員およびティム・スコット(Tim Scott)上院議員(共和党、サウスカロライナ州選出)の両名とも、どの法案に対しても詳細には踏み込まなかったが、上院農業委員会で行われている内容については言及した。

両議員はまた、共和党は民主党よりも暗号資産に利する立場にあると発言し、短時間ながらも同シンポジウムでの登壇中に有権者に訴えかけた。補足すると、共和党の大統領候補ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏は今回の選挙で暗号資産支持を声高に主張している。民主党の候補であるカマラ・ハリス(Kamala Harris)氏はこの問題に直接言及していないが、ブルームバーグ(Bloomberg)は現地時間8月21日、ハリス氏がデジタル資産に対してより好意的な姿勢を示していると報じた。

上院銀行委員会で共和党議員として筆頭の立場にあるスコット議員は、同委員会の筆頭委員としての在任期間中、暗号資産についてあまり語ってこなかった。しかし、先月のBTCナッシュビルカンファレンスでルミス議員とともに暗号資産ファンに対して自己紹介し、より寛容な規制を求めることや、親暗号資産の法案を支持することなど、暗号資産コミュニティで定番の論点について繰り返した。

共和党が勝った場合

上院で共和党が優勢に立てば、スコット議員が議長となる。同議員は現地時間8月21日、議長に就任すればデジタル資産に焦点を当てた小委員会を設置する可能性を示唆した。

「銀行委員会に暗号資産業界に焦点を当てた小委員会があれば素晴らしいと思わないだろうか。そうすれば、議論にもっと光が当たり、業界に関する公聴会がより開かれ、物事がより早く進むだろう」と同議員は語った。「私たちはより短期間でより速く前進する。なぜなら、法案に対する動機と勢いがあるからだ。」

両議員ともに、現委員長のシェロッド・ブラウン(Sherrod Brown)議員(民主党、オハイオ州選出)とエリザベス・ウォーレン(Elizabeth Warren)上院議員(民主党、マサチューセッツ州選出)を、暗号資産関連法案の推進において「逆風」を生み出している議員だと呼んだ。

「年内に何かしら完遂できるとしたら、その唯一の方法は、商品先物取引委員会(の法案)という形で上院農業委員会を通過することだ」とルミス議員は語った。上院多数党院内総務のチャック・シューマー(Chuck Schumer)上院議員(民主党、ニューヨーク州選出)は先週の「Crypto4Harris」によるイベントに出席した際、暗号資産法案を上院で通過させ、年末までに法制化すると約束している。

課題は残りの会期が短いこと

ルミス議員は、法案が上院農業委員会を通過すれば、それが「いわゆるクリスマスツリー」になるという仮のシナリオについて説明した。

このシナリオに基づけば、ステーブルコインを定義するためにハウィーテストを利用し、農業委員会の法案にステーブルコインの条項が追加される可能性があると同議員は述べた。

「チャック・シューマー氏が自身のSAFER Banking(より安全な銀行)法案を出し、いったんそうなればすぐに、非常に広範な金融サービスについての法案が提出され、それが可決されるだけの十分な流れができる」とルミス氏は語った。「そして、これは選挙後に実際に起こり得るシナリオだ。課題は、そのような法案を成立させるのに十分な立法のための日数を確保することだろう。」

スコット議員もこれに同意し、今年中に上院銀行委員会で法案が成立する可能性は低いと述べた。

スコット議員は「動機とインセンティブは存在する。本当に重要な2つのインセンティブは、金融サービスのマクヘンリー氏とスタベノウ氏だ」と語った。これは、下院金融サービス委員会のパトリック・マクヘンリー(Patrick McHenry)議員と、上院農業委員会のデビー・スタベノウ(Debbie Stabenow)議員を指し、両議員とも引退する予定である。「シューマー氏はスタベノウ氏に餞別を贈りたいと考えており、それがこの法案になるかもしれない。つまり、二院制における両側に勢力があり、私見としては暗号資産業界のみならずアメリカの消費者に対しても非常に有益な法律を、彼らのレガシーとして数えられるよう、何か形にしようと努力しているのだ。」

選挙予測

スコット議員は、ウェストバージニア州のジョー・マンチン(Joe Manchin)上院議員(無所属、ウェストバージニア州選出)が再選を目指していないことや、オハイオ州とモンタナ州での接戦について指摘し、2024年の選挙後には共和党が米上院の100議席中52~53議席を維持する可能性が高いと予測した。

「政治的に優れているかどうかは問題ではない。本当に自分の利益に適うかの問題だ。米国人は典型的には人気のある問題に対して投票し、次にコミュニティの問題について投票するものだ」とスコット議員は述べ、これらの問題に焦点を当てたBTCナッシュビルでのトランプ前大統領の発言を引き合いに出した。

ルミス議員はパネルディスカッションでハリス副大統領を批判し、「彼女がこの業界にとって良い存在になるという兆しは見られない」と述べた。

ハリス陣営は暗号資産に特化した計画についてまだ発表しておらず、先週になってようやく政策に関する取り組みを開始したばかりだ。現地時間8月21日早朝、ハリス陣営の顧問で元財務省高官のブライアン・ネルソン(Brian Nelson)氏は、ハリス氏が暗号資産業界の成長を望んでいると述べたが、詳細には触れられなかった。

ルミス議員は、これは共和党の政策綱領とは全く対照的だとし、トランプ氏はデジタル資産を盛り込んだ政策綱領を作成したと述べた。

ルミス議員は、共和党支持の州で争われる議席の数に言及し、2024年の選挙は今後6年間で共和党にとって最も有利な選挙になると述べた。同議員は、次の2回の選挙(2026年と2028年)では共和党が民主党よりも守勢に立つだろうと語った。

「共和党にとって最も良い算段であれば、こうなる。もし共和党の大統領、共和党の下院、上院が2年間続いたら、我々は山を動かすことができる。我々は重要な存在になれるだろう。我々は暗号資産業界や他の業界で主導権を握り、イノベーションを促進する前向きな方向に舵を切ることができる」と同議員は語った。「もし我々が今回の機会を逃したら、長い期間にわたって、同じ機会を得ることはできないだろう。」

|翻訳・編集:T.Minamoto
|画像:Nikhilesh De/CoinDesk
|原文:Top Republican Retains Hope U.S. Crypto Legislation Can Get Done This Year