スウェーデン中銀総裁によると、リブラ(Libra)仮想通貨決済プロジェクトは中央銀行制度を揺さぶっている。
スウェーデン中銀のステファン・イングベス(Stefan Ingves)総裁はCNBCの番組「スクワークボックスヨーロッパ(Squawk Box Europe)」で、フェイスブック(Facebook)が主導するリブラ・プロジェクトは「極めて重要な分水嶺となる出来事」であり、各国の中央銀行は自らの主要な商品、つまり貨幣について考え直すことを余儀なくされていると述べた。
イングベス氏によると、スウェーデン中銀は近い将来の「eクローナ」の実験に向けて動いているが、民間による通貨の代替手段を考慮して、独自の開発を考え直さなければならなくなった。新たな種類の通貨の開発はほぼ前例がない出来事であり、数世紀に1度起きるくらいのものだと付け加えた。
「スウェーデン国民にとって使いやすいスウェーデンクローナと呼ばれるモノ/サービスを生み出すのが私の仕事の一つであり、技術的に上手くいくのであれば、問題はない」とイングベス氏はCNBCに語った。「しかし1668年に行ったように20キロの銅のコインを発行し始めたとしたら、すぐに職を失ってしまいますね」
しかしイングベス氏は、民間セクターによる通貨の取り組みの大部分は「遅かれ早かれ崩壊している」と警告した。
リブラ協会(Libra Association)は2019年10月14日(現地時間)、スイスのジュネーブに集まり、現在では21団体となった創設メンバーが正式な憲章に署名した。先週、ビザ(Visa)やマスターカード(MasterCard)など複数の決済プロバイダーが、米国議員の圧力を受け、プロジェクトから脱退したところである。
翻訳:Emi Nishida
編集:T.Minamoto
写真:Stefan Ingves image courtesy of Riksbank
原文:Libra Is ‘Catalytic Event’ for Central Banks, Says Head of Sweden’s Riksbank